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資産家資産家

今度、転勤で県外に行くことになったの。

今住んでいる分譲マンションは、売却する?それとも賃貸にした方がいいのかな?

そうだ、佐藤さんに聞いてみよう!

マンション売却アドバイザーマンション売却アドバイザー

こんにちは。マンション売却アドバイザーの佐藤です。

せっかく選び抜いて購入した思い入れのあるマンション・・・。

今まで頑張って住宅ローンを支払ってきたのに、簡単には手放せないですよね?

だから、「とりあえず、賃貸にしようかな?」と考えられているのではないでしょうか。

しかし、実はこの「とりあえず、賃貸にしようか」は、かなり危険信号なのです。

その理由は、賃貸経営は意外と大変だからです。

ちゃんとした計画がないと赤字になる可能性が高いし、色々なリスクも付きまといます。

「とりあえず賃貸・・・。」と思われるのであれば、売却した方がいいでしょう。

もちろん、賃貸の方がお得になるケースもあります。

賃貸にした場合の注意点を知ったうえで、判断をするといいと思います。

そこで、今回は、賃貸経営の注意点について、お話したいと思います。

1.賃貸の3つのメリット

賃貸にするメリットは、主に下記の3つがあります。

  1. 家賃収入が得られる。
  2. 管理費・修繕積立金・固定資産税などを経費にできる。
  3. 分譲マンションは相場より高く貸せる。

では、順番に詳しく見ていきましょう。

1-1.家賃収入を得られる。

家賃収入

一番のメリットは、入居者が決まれば継続的に家賃収入を得られることです。

まだ住宅ローンが残っている方は、家賃収入を住宅ローンの返済に充てることができます。

そして、住宅ローンを払い終われば、マンションが資産として残ります。

給料などのメインの収入以外に副収入があることは、心強いものですよね。

また、家賃以外にも一時的な収入として、地域によっては礼金や更新料も見込める可能性があります。

1-1-1.礼金とは?

礼金とは、賃貸借契約を結ぶときに、入居者から大家さんにお礼として支払われるお金です。

礼金の由来は、戦後の住むところがない時代に「家を貸してくれてありがとう」との感謝の気持ちを込めて、礼金を支払っていたと言われており、その慣例がまだ残っています。

礼金が見込めるかどうかは地域の慣習によりますが、相場は家賃の1~2ヶ月分です。

参考までに、下記の表は国土交通省が調査したもので、平成17年4月~平成18年3月に契約した物件のうち、入居者から礼金を「徴収している割合」と「その額」をまとめたものです。

地域 礼金の徴収割合 礼金の額
北海道 5.8% 1.0ヵ月
宮城 56.7% 0.7ヵ月
東京 57.5% 1.4ヵ月
愛知 41.8% 1.1ヵ月
大阪 53.3% 2.6ヵ月
福岡 0%

1-1-2.更新料とは?

更新料とは、賃貸借契約を更新するときに、入居者から大家さんに支払われるお金です。

一般的な賃貸借契約(普通借家契約)では契約期間を1~2年にすることが多く、契約更新に関して下記の2つのタイプに分かれます。

  • 更新料なしで、自動更新されていくタイプ
  • 更新料ありで、更新されてくタイプ

更新料が見込めるかどうかも地域の慣習によりますが、相場は家賃の半月分~1ヶ月分です。

参考までに、下記の表は国土交通省が調査したもので、平成17年4月~平成18年3月に契約した物件で、入居者から更新料を「徴収している割合」と「その額」をまとめたものです。

 地域 更新料の徴収割合 更新料の額
北海道 28.5% 0.1ヵ月
宮城 0.2% 0.5ヵ月
東京 65.0% 1.0ヵ月
愛知 40.6% 0.5ヵ月
大阪 0%
福岡 23.3% 0.5ヵ月

1-2.管理費・修繕積立金・固定資産税などを経費にできる。

賃貸にするとほとんどの方が確定申告が必要になりますが、今まで当たり前のように支払ってきた費用を、今後は経費にすることができます。

例えば、下記のようなものがあります。

  • 管理費
  • 修繕積立金
  • 固定資産税・都市計画税
  • 住宅ローンの利息
  • 損害保険(火災保険・地震保険など、当年度分のみ)
  • 建物の減価償却費

※住宅ローンは返済額ではなく、利息のみが経費にできます。

また、上記外にも下記のような、賃貸経営においてこれから発生する費用も経費にすることができます。

  • リフォーム・ハウスクリーニング費用
  • 不動産会社への手数料(仲介手数料・管理料など)
  • 通信費(電話・インターネット代など)
  • 交通費(電車・ガソリン・駐車場・高速代など)
  • 新聞図書費(書籍の購入費など)
  • 消耗品費(パソコン・プリンター・インク代など)
  • 接待交際費(管理会社・税理士との打ち合わせなど)
  • 税理士に依頼した費用

収支が赤字になる場合は、確定申告をすれば、損益通算ができます。

賃貸をするために維持・補修・管理が行われており、いつでも貸せる状態にあるときは、入居者が決まらなくても確定申告で損益通算をすることができます。

したがって、空室でも減価償却費や諸経費を計上して、節税をすることができます。

サラリーマンであれば給料から所得税が天引きされていると思いますが、その所得税が返ってきます。

1-3.分譲マンションは相場より高く貸せる。

分譲マンションは、賃貸マンションよりも基本的にグレードが高いため、相場よりも1割り増し以上で貸せる可能性があります。

賃貸マンションと比べると、下記のような点が優れているケースが多いです。

  • 外観・内装・構造の質が高い。
  • 管理が行き届いている。

構造がしっかりしているため、上下階や隣人との騒音トラブルを避けたい方には、分譲マンションは魅力的になります。

また、もし間取りが4LDKであれば、賃貸マンションは3LDKまでが多いため、希少価値があります。

2.賃貸の7つのデメリット

賃貸のデメリットは、主に下記の7つがあります。

  1. 意外と初期費用がかかる。
  2. 意外と維持費も掛かる。
  3. 空室リスクがある。
  4. 室内が傷みやすい。
  5. 賃貸中に売却すると安くなる。
  6. 3,000万円の特別控除が受けられない。
  7. 事故物件になるリスクがある。
  8. 新居の住宅ローンが借りにくい。

2-1.意外と初期費用がかかる。

賃貸にすると家賃収入がありますが、意外と経費としての支出もあります。

まずは初期費用として、下記の2つがかかります。

  1. リフォーム・ハウスクリーニング費用
  2. 仲介手数料または広告料

では、順番に詳しく見ていきましょう。

2-1-1.リフォーム・ハウスクリーニング費用

リフォーム

賃貸として貸し出すには、室内のリフォームとハウスクリーニングが必要となるケースが多いです。

自分では気にならなくても、第三者が見みて気になる部分は一新した方が、入居者が決まりやすくなります。

参考までに、下記の表は間取り別に費用をまとめたものです。

費用は物件や状態、業者によって違ってきますので、あくまでも目安としてとらえてください。

  • ※クロス(壁紙)は全面張り替えた場合です。
  • ※ハウスクリーニングは室内すべての場合です。
クロス(壁紙) ハウスクリーニング
1LDK(50㎡) 20~30万円 3~6万円
2LDK(60㎡) 25~35万円 4~8万円
3LDK(70㎡) 30~40万円 6~10万円

和室がある場合は、畳の表替え・ふすまや障子の張り替えが必要になります。

畳の表替え 1帖 4千円前後
ふすま張り替え 1枚 3千円前後
障子張り替え 1枚 3千円前後

その他、何か不具合のあるところがあれば、修理が必要になります。

2-1-2.不動産会社への仲介手数料や広告費

不動産会社に入居者の募集を依頼し、入居者が決まったときは、広告料として家賃の1ヵ月分を支払うことが一般的です。

なかには2~3ヵ月分を支払っている大家さんもいらっしゃいます。

ここで注目していただきたい点が、仲介手数料ではなく、広告料という項目であることです。

「法律」と「実際」に違いがありますので、ご注意ください。

法律では…

法律では、賃貸借契約が成立すれば、不動産会社は仲介手数料を受け取ることができるようになっています。

上限額は家賃の1ヵ月分で、例えば、家賃が10万円の場合、上限額は10万円(+消費税)になります。

そして、大家さんが0.5ヵ月分、入居者が0.5ヵ月分を支払うことが原則であり、どちらかが1ヵ月分を支払う場合は、あらかじめ両者の承諾が必要になります。

実際は…

しかし、実際は十分な説明をせずに承諾があったものとして取り扱い、入居者から1ヵ月分を受け取っています。

そして、大家さんからは広告料という項目で、さらに1ヵ月分を受け取っています。

つまり、不動産会社は入居者から1ヵ月分、大家さんから1ヵ月分、合計2ヵ月分を受け取ることが慣例となっています。

仲介手数料を2ヵ月分受け取れば法律に反するため、無理やり広告料という項目を作り上げているわけです。

広告料を2ヵ月・3ヵ月分支払う大家さんもいる

大家さんのなかには、広告料を2~3ヵ月分を支払われている方もいらっしゃいます。

なぜなら、入居者が早く決まりやすいからです。

不動産業界の裏事情になりますが、賃貸営業マンの給料はほとんどが歩合制であり、ノルマもあります。

したがって、広告料が多い物件を優先して紹介するため、入居者が早く決まりやすくなります。

逆に、広告料を支払わないとなれば、放置されるのが現状です。

大家さんとしては厳しい現状ではあります。

2-2.意外と維持費もかかる。

賃貸経営を維持するための費用が、意外とかかります。

おもに下記の6つの費用があります。

  1. 管理費・修繕積立金
  2. 固定資産税・都市計画税
  3. 損害保険(火災保険・地震保険)住宅ローンに加入義務がある。
  4. 賃貸管理料
  5. 修繕費
  6. 税金

上記6つのうち、1.管理燈、2.修繕積立金、3.固定資産税・都市計画税はすでにご存知だと思いますので、ここでは4.管理料、5.修繕費、6.税金について、お話しさせていただきます。

2-2-1.賃貸管理料

不動産会社に賃貸管理を依頼する場合は、管理料が毎月かかります。

相場は家賃の5%ほどで、例えば家賃が10万円の場合は、5千円(+消費税)になります。

管理を依頼することで、下記のような大家さんが対応すべき業務を、不動産会社が代わりに対応してくれます。

  • 連絡の窓口になる
  • 家賃の入金確認
  • 家賃を滞納したときの督促
  • クレーム対応
  • 設備トラブルの対応
  • 工事の発注・確認
  • 近隣トラブルの対応
  • 契約の更新手続き
  • 契約の解約手続き
  • 敷金の精算
  • 退去後のリフォーム
  • 家賃設定や募集戦略の提案
  • 入居者の募集
  • 空室の管理

時間に余裕がない方や県外にお住まいの方は、何かあった場合に対応がむずかしいと思います。

その点、不動産業者に管理をまかせておけば対応してくれますし、また、安心することもできますので、保険をかけるのと似た性質があると思います。

2-2-2.修繕費

修繕費

入居中や退去後に、設備に不具合(経年による劣化や故障)があれば、そのたびに修繕費がかかります。

下記の表は、よくある不具合箇所と交換費用についてまとめたものです。

設備の使い方にもよりますが、一般的に10年を超えると故障が多くなってきます。

※交換費用は一般的な価格であり、グレードや業者によって違いますので、あくまで目安としてとらえてください。

交換費用
給湯器 15万円~
エアコン 8万円~(10畳用冷暖房)
ウォシュレット 2万円~
換気扇 ・キッチンレンジフード:5~12万円
・トイレ:2~5万円
・浴室:2~5万円
蛇口 2万円~
シャワーホース 1万円~

修理や交換を不動産会社に依頼した場合、不動産会社は下請け業者に依頼するケースが多いです。

その場合、下請け業者の修理や交換費用に加えて、さらに不動産会社の利益(5~10%ほど)が加算されるため、少々割高になります。

2-2-3.税金

家賃・礼金などの「収入」から、管理費・修繕積立金などの「経費」を引いた分が、「不動産所得」となり、それに対して所得税や住民税がかかります。

税金の額は、不動産所得だけで計算するのではなく、給与所得なども含めた総額で計算していきます。

ここでは分かりやすくするために、例として下記の条件で計算していきます。

  • 賃貸収入 150万円
  • 経費 50万円
  • 給与収入 800万円
  • 所得控除 100万円
  • 源泉徴収額 97万円
  • 青色申告する。

結論から先に言うと、上記の条件では不動産所得に対して、所得税が8万円ほど、住民税が10万円ほどが目安になります。

では、所得税の計算方法からみていきましょう。

所得税の計算方法

まずは、不動産所得を計算します。

賃貸収入 150万円 - 経費 50万円 = 不動産所得 100万円

所得税の計算式は、下記のようになります。

不動産所得 100万円 × 税率 = 所得税

税率を求めるには、不動産所得と給与収入を合算し、所得控除(社会保険・扶養控除・生命保険など)を引く必要があります。

不動産所得 100万円 + 給与所得 800万円 - 所得控除 100万円 = 課税所得金額 800万円

確定申告には白色申告と青色申告があり、青色申告の方が少しややこしくはなりますが、65万円の控除があり節税できます。

課税所得金額 800万円 - 青色申告控除 65万円 = 課税所得金額 735万円

この課税所得金額 735万円をもって、下記の表(国税庁の所得税の速算表)を見ていきます。

 課税所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超~330万円以下 10% 97,500円
330万円超~695万円以下 20% 427,500円
695万円超~900万円以下 23% 636,000円
900万円超~1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円超 40% 2,796,000円

課税所得金額が735万円の場合、税率は23%になり、さらに636,000円が控除されます。

課税所得税額 735万円 × 税率23% - 控除額 63.6万円 = 105万円

※ここでは分かりやすくするため、1万円未満を切り捨てて計算しています。

上記 105万円から、源泉徴収税額 97万円を引きます。

105万円 - 源泉徴収税額 97万円 = 8万円

所得税は8万円になります。

  • ※復興特別所得税(税率2.1%)は除いています。
  • ※住宅ローン控除がある方は、さらに控除されます。

住民税の計算方法

住民税は地域によって違いがありますが、不動産所得の10%ほどが目安になります。

不動産所得税 100万円 × 約10% = 住民税 10万円ほど

収入になるもの

  • 家賃
  • 礼金
  • 敷金(返還しないもののみ)
  • 更新料

必要経費になるもの

  1. 管理費・修繕積立金
  2. 固定資産税・都市計画税
  3. 住宅ローンの利息
  4. 損害保険(火災保険・地震保険など、当年度分のみ)
  5. 建物の減価償却費
  6. 修繕費(リフォーム・ハウスクリーニングなど)
  7. 不動産会社への手数料(仲介手数料・管理料など)
  8. 通信費(電話・インターネット代など)
  9. 交通費(電車・ガソリン・駐車場・高速代など)
  10. 新聞図書費(賃貸の書籍の購入費など)
  11. 消耗品費(掃除道具、パソコン・プリンター・インク代など)
  12. 接待交際費(管理会社・税理士との打ち合わせなど)
  13. 税理士・弁護士に依頼した費用

必要経費として認められないもの

  • 住宅ローンの元本返済部分
  • 賃貸事業に関係のない支出(自宅に関わる経費など)
  • 所得税や住民税

2-3.空室リスクがある。

入居者が決まれば家賃収入がありますが、決まらなければ家賃収入は0円です。

たとえ空室だとしても、住宅ローンの返済、管理費、修繕積立金、固定資産税などを支払っていかなければなりません。

収入はないのに経費がかかるため、大赤字になってしまいます。

また、引っ越しシーズンの2~3月に入居者が決まらなければ、半年~1年間ものあいだ空室のままということも珍しくはありません。

空室リスクは賃貸事業における最大のリスクになります。

それを避けるための1つの方法として、あまりおススメではありませんが、サブリース(転貸借契約)という方法もあります。

2-3-1.サブリースとは?

サブリースは、マンションを大家さんが不動産会社に貸して、その後、不動産会社が入居者に又貸しをする仕組みです。

大家さんへの家賃は不動産会社が保証してくれますので、空室でも家賃滞納があっても必ず入金があります。

ただ、家賃の20%ほどもが手数料(保証料)として差し引かれます。

メリット・デメリットを簡単にまとめますと、下記のようになります。

メリット
  • 空室や家賃滞納があっても家賃が保証される。
  • 不動産会社と入居者が賃貸借契約をするため、クレームやトラブルなどに関わることがない。
デメリット

契約内容にもよりますが、下記のようなものがあります。

  • 家賃から20%ほども手数料が引かれる。
  • 定期的に賃料の見直しがあるケースが多い(例えば2年前ごとなど)
  • 入居者募集開始から数か月間(免責期間)は保証されないケースがある。
  • 空室のたびに免責期間があるケースもある。
  • 途中解約は違約金が発生するケースがある。
  • 募集開始の数か月は保証免責(保証しない)

サブリースで20%も支払うなら、質の良い不動産会社に管理を依頼して5%を支払った方が、メリットが大きいと思います。

2-4.室内が傷みやすい。

賃貸として第三者に貸し出すと、室内が傷みやすい傾向にあります。

まず、大家さんにとっては大切なマイホームですが、入居者にとっては借りた部屋にすぎません。

綺麗好きな入居者だとラッキーですが、そうでない方もいっぱいいらっしゃいます。

私の経験上、下記のような方がいらっしゃいました。

  • 全く掃除をしていない方。
  • たばこのヤニで真っ黄色の方。
  • 油料理が好きだったのか、キッチンが油まみれの方。
  • 部屋中にゴミが入ったゴミ袋をため込んでいる方。(まれなケース)

入居中は基本的に室内をみることがでできないため、退去後に見て、汚れ・傷みにビックリすることがあります。

入居者次第にはなりますが、室内が傷むことを覚悟しておいた方が良いでしょう。

2-5.賃貸中に売却すると安くなる。

将来、入居者がいる状態でマンションを売却したくなったとします。

賃貸中でも売却することは可能ですが、購入する方は基本的に投資家しかいません。

なぜなら、

  • 第三者が住んでいる。
  • 室内が見れない。
  • 住宅ローンが組めない(事業用ローンになる)。

などの理由があるからです。

したがって、居住用ではなく投資用としての売却になり、そうなれば売却価格がシビアになってきます。

投資用の場合は、表面利回りが参考にされます。

表面利回りとは、投資した金額に対する家賃収入の割合を表す数字です。

たとえば、購入価格が2,000万円で、家賃収入が月10万円の場合は下記のようになります。

(家賃収入 10万円 × 12ヵ月) ÷ 購入価格 2000万円 = 利回り6%

売却するのであれば、最低でも8%は欲しいところなので、価格を下げないと売却はむずかしいことになります。

2-6. 3,000万円の特別控除が受けられない。

マンションを売却して利益がでた場合、その利益分に対して譲渡所得税(所得税と住民税)がかかります。

細かいところは無視して分かりやすくいうと、「現在の価値 3,000万円のマンションを 3,500万円で売ったら、利益分 500万円に対して税金がかかります!」といった感じです。

譲渡所得税の計算方法は、利益分 500万円に下記の税率をかけることによって計算できます。

売却した年の1月1日時点で、所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」、5年以下の場合は「短期譲渡所得」となり、税率が変わってきます。

所得税 住民税
長期譲渡所得(5年越え) 15% 5%
短期譲渡所得(5年以下) 30% 9%

※平成25年~平成49年までは復興特別所得税として、さらに所得税の2.1%を納税しなければなりません。

たとえば、購入から10年経過したマンションを下記の条件で売却したとします。

  • 購入価格:3,000万円(経費含む。建物は減価償却相当額を控除した後。)
  • 売却価格:4,000万円(経費含む。)

この場合、下記の計算式のとおり、1,000万円の利益がでることになります。

売却価格 4,000万円 - 購入価格 3,000万円 = 利益 1,000万円

3,000万円の特別控除

個人がマイホーム(居住用財産)を売却した場合、一定の要件を満たせば、利益分から最高3,000万円までを控除することができます。

したがって、利益が1,000万円でたとしても、3,000万円控除されますから、税金はかかりません。

ただ、控除を受けるには「住まなくなった日から3年目を経過する年の12月31日までに売ること」という条件があります。

つまり、賃貸に出して3年が過ぎてしまうと、控除が受けられなくなるのです。

2-7.事故物件になるリスクがある。

もし、入居者が室内で、下記の理由で死亡した場合、事故物件になるリスクがあります。

  • 殺人や火災などの刑事事件に該当しうる事柄で死亡した場合。
  • 事件性のない事故、災害、自殺、孤独死などで死亡した場合。

事故物件になってしまうと、次回は賃貸するにしても売却するにしても、事実を告知したうえで契約しなければなりません。

そのため、賃料や売却価格を大きく下げないと決まりづらくなります。

事故物件になると、一気に資産価値が下がってしまいます。

2-8.新居の住宅ローンが借りにくい。

「今のマンションは住宅ローンが残っている。」

「新居を住宅ローンで購入したい。」

上記のようにダブルローン(二重ローン)を考えている場合、新居の住宅ローンの審査が非常に厳しくなります。

金融機関は、旧居と新居の住宅ローンの返済額を合算して、今の年収で支払っていけるのかをみます。

したがって、高年収でなければ、住宅ローンを借りれない可能性があります。

たとえ、旧居を賃貸にして家賃収入があったとしても、空室リスクがありますので、金融機関はプラスに考えてくれません。

今のマンションに住宅ローンが残っている場合は、新居の住宅ローンが厳しくなるというリスクがあります。

以上が、賃貸のデメリットになります。

賃貸は収入が得られるというメリットがある反面、多くのデメリットもあります。

事業者になるという意識をもって行わないと、赤字になってしまう可能性がありますので、ご注意ください。

3.将来、マンションをどうするのか?

賃貸か売却かを判断するにあたって、将来、マンションをどうするのかによって変わってきます。

主に下記の3通りがあります。

  1. 賃貸し続ける
  2. 将来また住む
  3. ひとまず賃貸にして、いずれ売却をする

では、順番に見ていきましょう。

3-1.賃貸し続ける

マンションに住む予定がない場合は、賃貸を検討する価値があります。

  • 賃貸の相場はいくらか
  • 初期費用(リフォームなど)はいくらか
  • 経費はいくらか
  • 住宅ローンの返済はいくらか
  • 空室リスクを考慮する

3-2.将来また住む

もし転勤などで5年後に帰ってきてまた住むことが決まっている場合は、その間だけ賃貸にすることもできます。

その場合は、定期借家契約で契約することです。

賃貸借契約には下記の2種類があります。

  • 普通借家契約
  • 定期借家契約

3-2-1.普通借家契約

通常は、普通借家契約を締結します。

契約期間は1~2年で設定することが多く、期間が満了すれば、そのまま更新されていきます。

大家さんが「更新しません!」と言ったとしても、”正当な理由”がない限り、法的に受け入れられません。

この”正当な理由”が、なかなか認められにくいもので、「転勤から戻ってきた」や、「また住みたい」」などの理由は、通常認められません。

どうしても退去してもらいたい場合は、入居者を説得して、かつ立ち退き料を支払うなどして、合意してもらうことになります。

もし、「必ず5年には明け渡してほしい」場合は、定期借家契約で契約します。

3-2-2.定期借家契約

定期借家契約は、契約期間が満了すれば、そこで契約が終わります。

例えば、5年後には転勤で戻ってくるから、明け渡してもらえます。

しかし、デメリットとして、家賃を相場の7~8割り程度にしないと、借り手がみつかりません。

わざわざ、5年後に出て行かなければならない物件を選ぶ方は少なく、家賃を下げるなどのメリットがないと借り手がいません。

3-3.とりあえず賃貸にして、いずれ売却をする

計画が無く「とりあえず賃貸にする」のが一番危険です。

4.賃貸と売却の市場動向はどうか?

まずは賃貸の市場動向から見ていきましょう。

4-1.賃貸の市場動向

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下記の表は、総務省統計局のデータをもとに、全国の賃貸住宅の空室率の平均が算出されたものです。

賃貸住宅は増えていっていますが、それ以上に、空室率も増えていっています。

概算では、2013年時点で賃貸住宅5戸のうち1戸は空室という計算になります。

居住中 空き家 空室率
2013年 1844.9万戸 429.2万戸 18.9%
2008年 1777.0万戸 412.7万戸 18.8%
2003年 1716.6万戸 367.5万戸 18.8%
1998年 1673.0万戸 352.0万戸 17.4%
1993年 1569.1万戸 261.9万戸 14.3%

(出典:ガベージニュース 賃貸住宅の空き家率推移をグラフ化してみる(2014年)

上記データは、地域や立地、築年数などの条件が反映されていないため、あくまでも全体的な傾向としてとらえてください。

4-2.売却の市場動向

住宅ローンの低金利が続いているため、中古マンションを購入しやすい状況ではあります。

5.住宅ローンで賃貸はNG。

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住宅ローン中に賃貸にすることは、基本的にNGです。

契約書(金銭消費貸借契約書)に、その旨が書かれていると思います。

住宅ローンは、本人が住むことを条件としているため、低金利になっています。

もし、賃貸にする場合は、事前に金融機関に相談する必要があります。

一時的な転勤などの事情であれば、賃貸を認めてくれる金融機関が多いですが、なかにはローンの条件を変更させられる可能性もあります。

民間の金融機関では、金利を引き上げられたり、金利が高い賃貸住宅ローン(アパートローンなど)に借り換えをさせられることもあります。

住宅金融支援機構(フラット35など)の場合は、民間の金融機関への借り換える必要があります。

5-1.借り換えには、諸費用がかかる。

もし、借り換えとなれば、諸費用(事務手数料や印紙税、抵当権設定費用、保証料など)がかかります。

例えば、借入額2,000万円で、返済期間が20年の場合だと、約50万円ほどかかると思います。

「金利が上がるかもしれない」ということと、「借り入れには所費用がかかる」ということを、頭に入れておいた方がいいです。

5-2.無断で賃貸にした場合

無断で賃貸した場合は、契約違反となります。

もし、発覚した場合は、賃貸住宅ローンへの借り換えを求められたり、最悪の場合は、住宅ローンの残債を一括返済するように、求められることもあります。

一例ですが、住宅ローンを借りている方は、分譲マンション宛に、金融機関から郵便物が、定期的に届いていると思います。

マンションを賃貸に出せば、その郵便物がオーナーのもとへ届かなくなります。

もし、金融機関に返送されてしまうと、後日連絡があったり、職員が訪問したりします。

そうなれば、発覚してしまいます。

まとめ

マンション売却アドバイザーマンション売却アドバイザー

賃貸経営に関する注意点などをお話させていただきましたが、如何だったでしょうか?

しっかりとしたプランがあれば、利益を出せることができますが、安易に考えていれば、赤字になってしまいます。

「賃貸経営は面倒だ」、「赤字になるリスクを負いたくない」と思われている方には、売却をおすすめしています。

資産家資産家

賃貸経営って、思っていたよりも大変そうね。

それなら、マンションを売却して、スッキリした方がよさそうね。

色々と教えてくれてありがとう!佐藤さん!