
今度、マンションを売るために、不動産屋さんに査定を依頼するつもりなの。
そこで気になったんだけど、不動産屋さんは普段、どのような方法で査定をしているのかしら?
そうだ、佐藤さんに聞いてみよう!

こんにちは。マンション売却アドバイザーの佐藤です。
不動産会社の査定方法を予め理解しておくことは、とても大切なことです。
なぜなら、不動産会社はあくまで査定額を提案するのであって、売り出し価格を最終的に決めるのは売主だからです。
では、不動産会社がどのような方法で査定をしているのでしょうか。
結論からになりますが、査定方法には下記の3つがあります。
- 収益還元法
- 原価法
- 取引事例比較法
それぞれマンションの用途によって使い分けられますが、マイホームなど居住用のマンションには、取引事例比較法が使われることが一般的です。
これについては後でお話しさせていただきますが、信頼性が高いものの注意点があることを理解しておくことで、マンションを損せず売却することにつながります。
そこで、今回は、不動産会社の査定方法について、お話させていただきます。
この話が終わるころには、不動産会社の査定方法について理解し、マンションを損せず売却することにつながると思います。
1.不動産会社の3つの査定方法

先ほどもお話ししましたが、不動産会社の査定方法には、下記の3つがあります。
- 収益還元法
- 原価法
- 取引事例比較法
では、それぞれの内容や使い方などを、順番に詳しく見ていきましょう。
1-1.収益還元法とは?
収益還元法とは、賃貸中のマンションの査定に使われる方法で、家賃収入をもとに売却価格を割り出す方法です。
簡単な例で説明すると、「年間の家賃収入が60万円で、売却価格が1,200万円であれば、20年でもとが取れる。」とのような感じで査定額が割り出されます。
主に投資用マンションなどの査定に使われることが多いです。
1-2.原価法とは?
原価法とは、もし同じマンションを建て直す場合、どれくらいの費用(材料費や人件費)がかかるのかを考慮して、査定額を割り出す方法です。
不動産の相続や贈与などの不動産鑑定などに使われたりする方法で、マイホームなどの一般的な居住用のマンションで原価法が用いられることは、ほとんどありません。
1-3.取引事例比較法とは?
取引事例比較法とは、査定するマンションや、その近隣の過去の取引事例を参考にして、査定額を割り出す方法です。
マイホームなど居住用のマンションの売買では、取引事例比較法が使われることが一般的です。
実際に取引された事例を参考にしますので、信頼性が高い査定方法になります。
ただ、下記の注意点がありますので、理解しておきましょう。
1-3-1.取引事例の売却理由が不明
取引事例は、売却理由まで記録されていないことが多く、その取引事例が、相場で売れたのかどうか分からない点があります。
例えば、本来2,000万円で売れるのに、売り急いでいたから1,500万円で売ってしまった場合でも、極端に言えば「1,500万円で成約」しか情報が無かったりします。
この1,500万円を相場と考えて査定をしてしまうと、損して売却することに成りかねません。
したがって、それを回避するためにも、より多くの取引事例が必要になってきます。
1-3-2.取引事例が古い場合
取引事例が古い場合は、現在の相場とズレている可能性があります。
不動産の価格は変動していますから、なるべく最近の取引事例と比較する必要があります。
1-3-3.取引事例が少ない場合
もし取引事例が少ない場合は、十分に比較することができないため、査定額の信頼性が低くなります。
少なくとも取引事例を5件以上は参考にしたいところです。
このように、取引事例によっては査定額の信頼性が低くなりますので、そのことを理解したうえで売り出し価格を決めるべきです。
では次に、取引事例比較法をもとにした、2種類の査定内容について、見ていきましょう。
2. 2種類の査定内容

上記の3つの査定方法とは別に、下記の2つの査定内容があります。
- 机上査定
- 訪問査定
では、順番に詳しく見ていきましょう。
2-1.机上査定とは?
机上査定とは、不動産の営業マンが物件を見ずに、取引事例などを参考にして、査定額を割り出す方法です。
別名を「簡易査定」とも呼ばれています。
営業マンが物件を見ていないわけですから、査定額の信ぴょう性は低くなります。
「ただ価格を知りたいだけ」や「まずは多くの査定額を比較したい」といった場合におススメです。
2-2.訪問査定とは?
訪問査定とは、不動産の営業マンが実際に物件を見て、さらに取引事例なども参考にして、査定額を割り出す方法です。
別名を「実査定」とも呼ばれています。
営業マンが実際に物件を見て、日当たりや眺望、室内の状態などを確認したうえでの査定なので、当然、査定額の信ぴょう性が高くなります。
マンションを売却する場合は、訪問査定を避けては通れません。
では次に、取引事例比較法と訪問査定の具体的な流れ・内容について、見ていきましょう。
3.査定の具体的な流れ・内容

不動産会社によって査定の流れ・内容は変わりますから、ここでは一般的な話をさせていただきます。
3-1.レインズの取引事例を参考にすることが多い。
不動産会社は取引事例をもとに査定をするわけですが、多くの不動産会社は、レインズに登録されている取引事例を参考にすることが多いです。
レインズとは、国土交通省が指定した不動産流通機構が運営する、コンピューター・ネットワーク・システムです。
分かりやすく言えば、会員である不動産会社のみが見ることのできるサイトのようなものです。
そのレインズに登録されている対象マンションの取引事例や、近隣で類似している取引事例を数件ピックアップして、参考にしていきます。
その他にも、自社で保管している取引事例や、参加しているネットワークで共有している取引事例なども参考にすることがあります。
3-2.点数で評価されることが多い。
対象マンションの間取りや築年数、日当たり、眺望などを取引事例と比較して、点数で評価されるケースが多いです。
例えば、「日当たり:5点、眺望:3点」といったような感じです。
ただ、実際のところ点数はそこまで重要ではなく、査定書にボリュームを持たせるためや、信頼度を持たせるためのパフォーマンスだったりします。
基本的には取引事例と比較し、最終的に不動産会社の主観により査定額が決められることが多いです。
3-2.不動産会社の主観とは?
不動産会社の主観とは、不動産会社の経験からくる意見や考え方になります。
例えば、「以前、このマンションの8階が2,000万円で売れたから、3階だと1,800万円くらいだろう」などがこれに当てはまります。
不動産会社や担当する営業マンによって経験が違いますから、査定額も変わってきます。
4.査定で知っておきたい3つのこと。
4-1.「査定額=売れる価格」ではない
よく間違われることが多いことですが、不動産の場合は「査定額=売れる価格」ではないことにご注意ください。
査定額はあくまでも、売れそうな価格にすぎません。
一般的には、3ヵ月以内で売れるであろう価格を査定する不動産会社が多いです。
したがって、査定額が高いからと言って、安易にその不動産会社に売却を依頼することは、望ましいことではありません。
4-2.意図的に査定額を調整する不動産会社には要注意
あってはならないことですが、なかには査定額を意図的に高くしたり、低くしたりするする不動産会社がいます。
なぜなら、自社の利益のためにです。
例えば、査定額が高すぎる場合は、その不動産会社が自社に売却を依頼してほしいがために、わざと高くしていることがあります。
そういった不動産会社は、ひとまずは高い価格で依頼を受け、売れないからと言って値下げ交渉をしてくるでしょう。
また、査定額が低すぎる場合は、早く仲介手数料を得たいがために、早く売ろうとしているのかもしれません。
本当は高く売れる可能性があるかもしれませんから、売主は損することになります。
このように、査定額は不動産会社によって差がありますから、必ず複数の不動産会社に依頼をして、比較することが重要です。
4-3.最終的に価格を決めるのは自分
不動産会社の査定額は、あくまでも提案価格にすぎません。
最終的に売り出し価格を決めるのは、売主であることを忘れないでください。
例え、査定額が2,000万円だったとしても、2,300万円で売り出してもいいわけです。
まとめ

今回は、マンション売却時の不動産会社の査定方法についてお話させていただきましたが、いかがだったでしょうか?

色々教えてくれてありがとう!
また分からないことがあれば、教えてね。