不動産売買の違約金と損害賠償の違いとは?

資産家資産家

先日、マンションを売却する契約をしたんだけど、手付解除の期限が過ぎたにもかかわらず、買主が「事情があって契約を白紙にしたい」と言ってきたの。

この場合、売買契約書には違約金や損害賠償って言葉があるけど、どちらがが該当するのかしら?

そうだ、佐藤さんに聞いてみよう!

マンション売却アドバイザーマンション売却アドバイザー

こんにちは。マンション売却アドバイザーの佐藤です。

手付解除の期限が過ぎたにもかかわらず、契約の白紙を求められたのであれば、ショックですよね。

売買契約後で、手付解除やローン特約の期限が過ぎたあとに、買主の一方的な事情により契約を白紙にする場合は、違約金の対象になります。

違約金と損害賠償についてですが、不動産の売買では、契約違反によって生じた損害賠償を、違約金として支払うことが一般的です。

つまり、違約金と損害賠償は、同じような意味合いで扱われているわけですね。

今回は、不動産売買における違約金と損害賠償の違いについて、お話させていただきます。

1.違約金とは?

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違約金とは、売買契約の後で契約違反(債務不履行)があった場合に、相手方に対して支払うことを予め約束した金銭のことを言います。

不動産の売買では、売買価格の20%を違約金として定めることが一般的で、最近では10%にすることも多くなってきまました。

なお、売主が不動産会社(宅地建物取引業者)の場合は、違約金と損害賠償額の合計が、売買価格の20%を超えることができないことになっています。

もし、特約で20%を超えた額を定めたとしても、その特約は無効になります。

これについては、宅地建物取引業法の第38条に定められています。

第38条
宅地建物取引業者がみずから売主となる宅地又は建物の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金の額の10分の2を こえることとなる定めをしてはならない。

2 前項の規定に反する特約は、代金の額の10分の2をこえる部分について、無効とする。

2.損害賠償とは?

損害賠償とは、契約違反(債務不履行)によって、相手方に損害を与えた場合に、その損害を賠償するために支払われる金銭のことをいいます。

違約金のように損害賠償額が決められているわけではなく、損害賠償額を立証するには、手間や時間、費用が掛かかってしまいます。

その為、相手方に損害賠償があった場合は、敏速に解決することができません。

それを防ぐために、不動産の売買では、予め約束していた違約金を損害賠償として支払うことが一般的になっています。

このことについては、公益社団法人 全日本不動産協会の売買契約書にも記載されています。

第12条(契約違反による解除)

売主または買主は、相手方がこの契約に違反したときは、相当の期間を定めて催告をしたうえで本契約を解除することができる。

2 前項の契約解除にともなう損害賠償は、標記の違約金による。

また、売買契約書には下記の記載もあります。

5  売主または買主は、現実に発生した損害が標記の違約金を超える場合でも、違約金を超える金額については、相手方に請求できない。逆に発生した損害が違約金よりも少額な場合でも、違約金の減額を求めることはできない。

つまり、もし損害額が違約金よりも「高かった」もしくは「安かった」としても、予め約束していた違約金の額を支払うことになります。

これが裁判になったとしても、裁判所もこの金額を増減することはできません。

例えば、売却価格が2,000万円で違約金が400万円と定めらている場合をみてみましょう。

この場合、損害額が600万円だったとしても、相手方に400万円しか請求することができません。

逆に、損害額が100万円だったとしても、相手方に400万円を請求することができます。

3.違約金さえ支払えば、一方的に契約解除できるわけではない。

気を付けて頂きたいのが、買主が事情により売買契約を白紙にしたいと思ったとしても、違約金さえ支払えば一方的に解除できるわけではありません。

契約違反があった場合は、売主には下記の2つの選択肢があります。

  • 違約金を請求して契約を解除する。
  • このまま契約の履行を求める。

どちらの選択肢を選ぶかは、あくまでも売主が決めることです。

民法には、下記のように定められています。

第420条第2項

賠償額の予定は、履行の請求又は解除権の行使を妨げない。

違約金(賠償額の予定)は、契約の履行を求める(履行の請求)ことも、契約を解除する(解除権の行使)ことも、妨げてはならないことになっています。

したがって、違約金を支払ったからと言って、買主自ら契約を解除することができないわけです。

4.すでに受け取った手付金はどうなるの?

契約違反によって違約金が支払われた場合は、基本的に手付金は返還しなければなりません。

もし、売主が契約違反した場合は、受け取った手付金を無利息にて返還し、違約金を支払います。

逆に、買主が契約違反した場合は、手付金を違約金に充当することができるようになっています。

このことについても、公益社団法人 全日本不動産協会の売買契約書に記載されています。

3 違約金の支払いは、次のとおり行う。

①売主が違約したときは、売主は買主に対して手付金等のすでに受領済みの金員を無利息にて返還するほか違約金を支払わなければならない。

②買主が違約したときは、買主は売主に対して違約金を支払わなければならない。この場合、買主は、手付金等のすでに売主に支払済みの金員をこの違約金に充当することができる。

まとめ

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今回は、不動産売買における違約金と損害賠償についてお話させていただきましたが、いかがだったでしょうか?

重要な点をまとめますと、下記の通りになります。

  • 契約違反(債務不履行)により、相手方に損害を与えた場合は、損害賠償として違約金を支払うことが一般的です。
  • 違約金の額は、10~20%で定められることが多く、売主が不動産会社(宅地建物取引業者)の場合は、20%を超えることはできません。
  • 違約金さえ支払えば、支払った側が一方的に契約解除できるわけではありません。
  • 違約金が支払われた場合は、すでに受け取った金銭(手付金など)は返還しなければなりません。

最後に注意点ですが、ここでお話しした内容は、不動産の一般的な売買契約書や民法に基づいた内容です。

もし、不動産会社が売買契約書に特約を入れたりすれば、話が変わってくる可能性がありますので、ご注意ください。

資産家資産家

色々教えてくれてありがとう!

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