不動産を売却するときの仲介手数料が、意外と高いことにビックリしたんだけど、どのように計算されているのかしら?
相場も知っておきたいし、値引き交渉ができるのかも知っておきたい。
それと、無料や半額の不動産会社もあるけど、大丈夫なのかしら?
そうだ、佐藤さんに聞いてみよう!
こんにちは!マンション売却アドバイザーの佐藤です。
仲介手数料は、売却価格が400万円以上であれば「売却価格×3%+6万円+消費税」を請求する不動産会社が多いです。
たとえば、売却価格が2,000万円であれば、仲介手数料は71.28万円になりますから、意外と高く感じますよね。
金額は、宅地建物取引業法(通称:宅建業法)の46条により上限額が決められていますが、あくまでも上限額であって、それ以下にすることもできます。
しかし、なかには上限額を超えた仲介手数料を請求する不動産会社もいますので、不動産会社に任せっきりではなく、仲介手数料について理解しておくことが大切です。
また、無料や半額などの「安い」という理由だけで不動産会社を選ぶと、トータルで見ると損する可能性がありますので、注意が必要です。
そこで、今回は、仲介手数料について知っておくべき5つのポイントを、お話しします。
この話が終わるころには、仲介手数料についてすべてを理解し、間違いのない不動産売却ができると思います。
それではまいります!
1.仲介手数料とは?
仲介手数料とは、不動産会社の仲介によって売買契約が成立したときに、不動産会社に支払う手数料のことをいいます。
これを専門用語で「媒介手数料」とも呼ばれています。
仲介手数料の金額は、売却価格によって上限額が決められていますので、その価格に応じた仲介手数料がかかることを念頭に、資金計画をする必要があります。
なお、これは買主においても同じことで、不動産会社の仲介によって不動産を購入したときは、買主にも仲介手数料が発生します。
1-1.仲介手数料は成功報酬
仲介手数料は成功報酬なので、売買契約が成立するまでは、不動産会社に1円も支払う必要はありません。
不動産会社は、不動産を売却するために、査定・売却活動・買主との交渉・売買契約・決済・引き渡しなどのあらゆる業務を行いますが、それに関わる人件費や広告費などはすべて仲介手数料に含まれています。
ただ、1点だけ広告費に関して例外がありますので、ご注意ください。
基本的に売却活動に関わる広告費は、不動産会社が負担するようになっています。
しかし、「新聞広告に載せてほしい」などの、売主が何か特別な広告を依頼した場合は、不動産会社は売主に対して、広告費の実費分を請求することができます。
なお、不動産会社が自主的に広告(折り込みチラシやインターネット広告など)を行った場合は、不動産会社負担になりますので、その点はご安心ください。
1-2.仲介手数料がかからないケース
不動産会社があなたの不動産を直接買い取りする場合は、仲介手数料はかかりません。
なぜなら、不動産会社が売主と買主の間に立って仲介するのではなく、直接買い取るからです。
2.仲介手数料の計算方法
宅建業法の第46条では、仲介手数料の「上限額」が定められており、不動産会社は上限額を超える金額を受け取ることはできないようになっています。
上限額の計算方法は、宅建業法にそって計算すると複雑ですが、簡単に計算できる「速算式」というものもあります。
もちろん、どちらでも最終的には同じ金額になりますし、プロの不動産会社でも速算式にて計算しています。
では、まずは速算式から見ていきましょう。
2-1.速算式
速算式では、売却価格の総額によって料率が変わってきます。
売却価格 | 仲介手数料(税抜き) |
---|---|
200万円以下 | 5% |
200万円超 ~ 400万円以下 | 4%+2万円 |
400万円超 | 3%+6万円 |
ほとんどの不動産の売却価格は400万円以上なので、下記の式が当てはまることが多いです。
(売買価格 × 3% + 6万円)+ 消費税8% = 仲介手数料
たとえば、マンションを2,000万円で売却した場合、計算式は下記のようになります。
(2,000万円 × 3% + 6万円) + 消費税8% = 71.28万円(税込み)
このように、速算式を使うと簡単に計算することができます。
2-2.宅建業法の計算方法
宅建業法の計算方法では、売買価格の部分部分によって、掛ける料率が変わります。
売却価格 | 仲介手数料(税込み) |
---|---|
200万円以下の部分 | 5.4% |
200万円超~400万円以下の部分 | 4.32% |
400万円超の部分 | 3.24% |
少し分かりづらいと思いますので、下記の例を参照ください。
たとえば、売却価格が2,000万円の不動産を売却した場合は、下記の通りになります。
売却価格 | 計算式(税込み) | 金額(税込み) |
---|---|---|
200万円以下の部分 | 200万円 × 5.4% | = 10.8万円 |
200万円~400万円の部分 | 200万円 × 4.32% | = 8.64万円 |
残りの1,600万円の部分 | 1,600万円 × 3.24% | = 51.84万円 |
合計 | 10.8万円 + 8.64万円 + 51.84万円 | = 71.28万円 |
このように、売却価格が2,000万円の場合は、仲介手数料の上限額は、71.28万円(税込み)になります。
結果的には速算式と同じ金額になります。
2-3.仲介手数料の早見表
参考までに、仲介手数料の上限額の早見表を作成しましたので、目安にされてください。
仲介手数料の金額の大きさに驚かれる方が多いです。
売却価格 | 仲介手数料の上限(税込み) |
---|---|
200万円 | 108,000円 |
400万円 | 194,400円 |
500万円 | 226,800円 |
1,000万円 | 388,800円 |
1,500万円 | 550,800円 |
2,000万円 | 712,800円 |
3,000万円 | 1,036,800円 |
4,000万円 | 1,360,800円 |
5,000万円 | 1,684,800円 |
6,000万円 | 2,008,800円 |
7,000万円 | 2,332,800円 |
8,000万円 | 2,656,800円 |
9,000万円 | 2,980,800円 |
1億円 | 3,304,800円 |
3.仲介手数料の相場はいくら?
仲介手数料の相場についてですが、宅建業法で定められた上限額を請求する不動産会社が多いです。
ただ、最近では差別化を図るために、仲介手数料「無料」や「半額」になど、安くする不動産会社が増えてきました。
売主にとっては非常にありがたいことではありますが、ただ、実はトータルで見ると損する可能性がありますので、なぜ安いのか、仕組みを理解しておくことが大切です。
仲介手数料が安いからという理由だけで不動産会社を選ぶことは、得策ではありません。
仲介手数料が上限額の不動産会社でも、売主の味方になって動いてくれる不動産会社を選んだ方が高く売ることができますから、トータルで見ると得する可能性が高いです。
では、なぜ「無料」や「半額」が成立するのか、そのカラクリを見ていきましょう。
3-1.仲介手数料が無料や半額のカラクリ
仲介手数料が「無料」や「半額」のカラクリは、買主から仲介手数料を受け取っているからです。
売却の依頼を受けた不動産会社は、自社で買主を見つけることによって、買主から仲介手数料を受け取ることができます。
そして、売主の仲介手数料を無料にすることができます。
売主にとってはありがたいことのように思えますが、しかし、不動産会社が「自社で買主を見つけなければならない」ことが、売主にとってデメリットになります。
不動産業界では、不動産会社同士が物件を紹介し合える仕組みになっているので、本来であれば、他社が買主を見つけることができます。
しかし、他社が買主を見つけて、他社が買主から仲介手数料を受け取ってしまえば、売主側の不動産会社は仲介手数料を受け取ることができません。
したがって、売主側の不動産会社は、物件情報をクローズにして囲い込み、他社に紹介させないようにします。
この行為を、物件情報を囲い込むことから「囲い込み」と呼ばれており、売主にとっては機会損失になる、不動産会社の悪しき行為になります。
囲い込みを行うとなれば、他社が営業活動できないため、物件情報が広く知れ渡りません。
また、不動産会社としては、早く自社で買主を見つけて売却してしまいたい為、あらかじめ査定価格を低く提案する可能性もあります。
以上のようなこともあり、結果的には、高く売れる可能性が低くなってしまいます。
そうなれば、仲介手数料は安いかもしれませんが、高く売ることができないため、トータルで見ると損する可能性があります。
不動産の売却は、売却活動をしっかりとやってくれて、最高額で売却してくれる不動産会社・営業マンに依頼することが大切です。
上限額の仲介手数料を請求する不動産会社でも、売主の味方になって相場よりも高く売るために努力してくれる不動産会社であれば、結果的にはプラスになります。
3-2.仲介手数料の値引き交渉はできるの?
結論からになりますが、仲介手数料の値引き交渉は、なかなか厳しい話です。
特に大手不動産会社は厳しい傾向にあります。
実際、私は不動産業界トップ3に入る大手不動産会社に勤めていた経験がありますが、仲介手数料の値引きは一切受け付けつけておらず、社員ですら値引きはありませんでした。
たまに、お客様から値引き交渉をされることがありましたが、社内ルールで絶対に無理だったので、即答で断っていました。
それに対して、小規模の不動産会社の方が、値引きに応じてくれる傾向にあります。
私は地域密着の小さな不動産会社にも勤めていた経験もありますが、売却価格が大きな場合は、値引き交渉に応じることがありました。
その理由は、仲介手数料が少なくてもいいから、売上を上げたかったからです。
3-3.値引き交渉のコツ
基本的に値引き交渉は難しい傾向にありますが、もし値引き交渉をする場合は、下記の2つのコツがあります。
- 不動産一括査定サービスを利用する。
- 媒介契約前に交渉する。
不動産一括査定サービスを利用して、複数の不動産会社に査定を依頼すれば、不動産会社が競い合いますから、比較的、仲介手数料の値引き交渉がしやすくなります。
また、値引き交渉の一番ベストなタイミングは、媒介契約前が効果的です。
4.仲介手数料はいつ支払うの?
仲介手数料は成功報酬になりますから、基本的には売買契約が成立した時点で、不動産会社は全額を請求できるようになっています。
しかし、実務上では、下記のように支払われることが一般的です。
- 売買契約のときに半金(50%)
- 決済・引き渡しのときに半金(50%)
例えば、売却価格が2,000万円の場合は、仲介手数料の上限額は下記の通りです。
2,000万円 × 3% + 6万円 + 消費税 = 712,800円(税込)
そして、下記のように支払います。
- 売買契約のときに、半金の356,400円(税込み)。
- 決済引き渡しのときに、残りの356,400円(税込み)。
ただ、不動産会社によっては、売買契約のときに全額、もしくは、決済・引渡しのときに全額を請求するようにしているところもあります。
報酬額とその支払時期については、媒介契約書に記載しなければならないので、確認するようにしましょう。
4-1.売主は、手持ちの現金で仲介手数料を用意するの?
基本的に、売主は手持ちの現金で仲介手数料を用意する必要はありません。
売買契約時も、決済・引き渡し時も、買主から受け取った売買代金から支払うことができます。
売買契約のときに、売主は買主から手付金を受け取ります。
手付金の額は決まりがありませんが、売却価格の10%前後が相場です。
その手付金のなかから、仲介手数料を支払うことができます。
ただ、最近では「買主が手持ちの現金を持っていない」などの理由で、手付金が少額(10万円など)のケースがあったりします。
手付金が少額であれば、手付金のなかから仲介手数料が支払えなくなりますので、この場合は手出しするか、もしくは不動産会社に相談して、決済・引渡しのときに全額支払うようにしてもらいます。
決済・引き渡しのときは、売主は買主から、残りの売却代金を受け取りますので、そのなかから支払うことができます。
5.売買契約が解除になった場合でも、仲介手数料は支払うの?
売買契約後に、売買契約が解除になった場合は、仲介手数料がかかる場合と、かからない場合があります。
売買契約が解除になる理由はいくつかありますが、主に下記の2つが多いです。
- 手付解除
- ローン特約による解除
では、順番に詳しく見ていきましょう。
5-1.手付解除
売買契約のときに、売主は買主から「手付金」を受け取りますが、この手付金は単なる頭金ではなく、法律では「解約手付け」として扱われます。
解約手付けとは、下記のような性質を持っています。
- 売買契約後に、もし、売主が契約を解除したい場合は、手付金の2倍の額を買主に支払うことで、解除することができます(手付け倍返し)。
- 売買契約後に、もし、買主が契約を解除したい場合は、すでに支払った手付金を放棄すれば、解除することができます(手付け放棄)。
これらは、売主もしくは買主都合による契約解除になり、不動産会社には落ち度がありません。
したがって、基本的には仲介手数料が発生します。
わたしから手付解除したのであれば、迷惑をかけたので、仲介手数料を支払うことに納得できるわ。
だけど、買主の都合で解除になったのであれば、納得がいかないんだけど・・・。
そうですよね。
買主から、手付金を多く受け取っている場合は、そこから支払えばマイナスにはならずに、逆にプラスになる可能性がありますから、問題ないでしょう。
しかし、手付金が少額の場合は、マイナスになる可能性があります。
この場合、不動産会社に相談して、仲介手数料を減額、もしくは免除してもらうケースが多いです。
良心的な不動産業者であれば、相談に乗ってくれると思います。
こういうことも含めて、不動産会社選びは大切です。
5-2.ローン特約による解除
買主が住宅ローンを借りる場合は、売買契約書に通称「ローン特約」という特約をつけます。
ローン特約とは、買主が売買契約後に、もし住宅ローンの本審査に落ちた場合、売買契約をペナルティー無しで解除できる特約です。
買主は、不動産の購入申し込みをする前に、金融機関の仮審査を受け、審査に通ってから売買契約を締結します。
そして、売買契約を締結した後に、今度は本審査があります。
仮審査に通っていれば、通常なら本審査にも通りますが、たまに本審査に落ちることがあります。
もし、本審査に落ちた場合は、買主は購入することができません。
したがって、ローン特約により、売買契約をペナルティー無しで解除できるわけです。
この場合、売主・買主の都合による契約解除ではありませんので、仲介手数料は発生しません。
ローン特約による契約解除は、金融機関の都合だから、仕方のない話ね。
売買契約のあとに、契約が解除になるかもしれないることを、頭に入れておくわ。
まとめ
今回、仲介手数料付いて知っておきたい5つのポイントをお話いたしましたが、いかがだったでしょうか?
最後にまとめとして、仲介手数料の重要な点をまとめました。
- 仲介手数料は成功報酬なので、売買契約が成立するまでは、1円も支払う必要がない。
- 計算方法は、売却価格が400万円以上なら「(売却価格 × 3% + 6万円) + 消費税」。
- 仲介手数料の相場は、上限額を請求する不動産会社が多い。
- 仲介手数料が安いという理由だけで不動産会社を選ぶのは得策ではない。
- 仲介手数料の値引き交渉は基本的に難しいが、交渉のコツは、不動産一括査定サービスを利用することと、媒介契約前に交渉すること。
- 支払い時期は、売買契約のときに半金、決済・引渡し時に半金が多い。
- 売買契約後の手付解除は仲介手数料がかかるが、ローン特約による解除はかからない。
いろいろ教えてくれてありがとう!
また、色々と教えてね、佐藤さん。