今度、ソニー不動産に査定を依頼しようと思っているの。
公式サイトを見ると、売主だけの味方に立つ「エージェント制度」に、とても魅力を感じているからなの。
でも、良いことばかり書いてあると、なんだか不安になるわ。
実際のところ、口コミ・評判はどうなのかしら?
こんにちは。マンション売却アドバイザーの佐藤です。
たしかに、ソニー不動産の公式サイトを見ると、「エージェント制度」など良いことばかりが書いてあるので、とても魅力を感じますよね。
実際のところ、ソニー不動産は、売主にとって魅力的な不動産会社の一つです。
日本の不動産業界では珍しい「エージェント制度」を採用することによって、売主の利益を最大限に追求でき、不動産を高く売却できる仕組みになっています。
ただ、その反面、ソニー不動産にはデメリットもありますので、きちんと理解したうえで査定を依頼すべきかどうかを、判断すると良いでしょう。
そこで、今回は、
- そもそもソニー不動産とは?
- なぜエージェント制度が魅力的なの?
- ソニー不動産の唯一のデメリット
- ソニー不動産の悪い評判・良い評判
などについて、もっと詳しくお話させていただきます。
この話が終わるころには、ソニー不動産の特徴や他社との違い、デメリットなどを理解し、自分に適しているかどうかを判断することができるでしょう。
それではまいります!
1.そもそもソニー不動産とは?
ソニー不動産は、テレビやパソコンなどの製造・販売を行う世界でも最大級のAV機器メーカーである、ソニー・グループの不動産会社です。
AV機器以外にも、ソニー銀行やソニー生命保険、ソニー損害保険など活動の幅を広げており、今回、新たに不動産業界にも参入しました。
ソニー不動産は2014年4月に設立され、同年8月よりサービスを開始。
運営歴はまだ浅いですが、経験豊富な人材を中途採用し、顧客満足度は90%を達成していますから、驚かされます。(2017年8月時点)。
日本の不動産業界では珍しい「エージェント制度」を採用し、不動産業界の常識を破りました。
では、エージェント制度とは何なのか、その実態を見ていきましょう。
2.なぜエージェント制度が魅力的なの?
ソニー不動産の特徴は、売主だけの味方に立つ「エージェント制度」を採用している点です。
エージェントとは「代理人」を意味する言葉であり、ソニー不動産が売主の代理人として、売主だけの味方になることを意味します。
日本の不動産業界では、1社の不動産会社が、売主と買主の間に立ち、仲介をすることができる仕組みになっています。
そして、その不動産会社は、売主と買主の「両方」から仲介手数料を受け取ることができることから、「両手仲介」と呼ばれています。
例えば、A不動産会社が売主から売却の依頼を受けて、自社で買主を見つけた場合、仲介手数料の受け取り方は下記のようになります。
- A不動産会社は、売主と買主の両方から仲介手数料を受け取る。
しかし、ソニー不動産では、この両手仲介を原則として禁止しています。
なぜなら、売主にとって不利益になりかねないからです。(理由は後述します)。
そこで、ソニー不動産では、ソニー不動産が売主担当になり、そして別の不動産会社が買主担当になり、2社が共同で仲介をするかたちをとっています。
この場合、それぞれの不動産会社は、売主もしくは買主の「片方」から仲介手数料を受け取ることができることから、「片手仲介」と呼ばれています。
例えば、A不動産会社が売却の依頼を受けて、B不動産会社が買主を見つけた場合、仲介手数料の受け取り方は下記のようになります。
- A不動産会社は、売主から仲介手数料を受け取る。
- B不動産会社は、買主から仲介手数料を受け取る。
では、なぜ、両手仲介が売主にとって不利益になりかねないのか、見ていきましょう。
2-1.両手仲介が売主にとって不利益になる理由
両手仲介が売主にとって不利益になる理由は、不動産会社が両手仲介を成立させるために、悪事を働くことがあるからです。
両手仲介は、1件の仲介で、売主と買主の両方から仲介手数料を受け取ることができるため、不動産会社にとっては、非常に効率の良い仕事になります。
不動産の仲介手数料は、売却価格が400万円以上であれば、下記の計算式にて割り出されます。
売却価格×3%+6万円=仲介手数料(税抜き)
これが、仲介手数料の「上限額」になります。
最近では差別化を図るために、仲介手数料を割引する不動産会社が増えてきましたが、しかし、まだまだ上限額を請求する不動産会社がほとんどです。
例えば、売却価格が3,000万円の場合の仲介手数料を見てみましょう。
3,000万円+3%+6万円=96万円(税抜き)
片手仲介の場合は「96万円」になりますが、両手仲介の場合は2倍の「192万円」になります。
そのため、不動産会社は両手仲介を成立させようとして、下記のような売主に対してマイナスになるような行動でも行うようになります。
2-2.両手仲介を成立させるための不動産会社の悪事
不動産会社が両手仲介を目指すとなれば、下記の行動を起こしかねません。
- 他の不動産会社に紹介させない(囲い込み)。
- 早く売るために、売却価格を下げようと説得してくる。
- 他社よりも、自社の購入申込みを優先させる。
では、順番に詳しく見ていきましょう。
2-2-1.他の不動産会社に紹介させない(囲い込み)。
両手仲介を目指すとなると、自社で買主を見つける必要があるため、他社が紹介できないように、不動産情報を隠そうとします。
この行為を、不動産情報を囲い込むことから「囲い込み」と呼ばれています。
例えば、売却の依頼を受けたA不動産会社が、指定流通機構であるレインズに不動産情報を登録したとします。
※レインズとは、国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しているコンピュータ・ネットワーク・システムです。レインズに不動産情報を登録することによって、他の不動産会社も物件を紹介できるようになります。
その不動産情報を見たB不動産会社は、お客様へ紹介するために、A不動産会社に「紹介できるかどうか」の確認を取ります。
その際、A不動産会社は、紹介できるにもかかわらず、「購入申込みが入ったので、紹介できません。」などの嘘を言って、紹介させないようにします。
これが一般的に行われている囲い込みです。
囲い込みは、売主にとって機会損失になる、とんでもない行為になりますが、残何ながら、不動産業界ではよくある話なのです。
2-2-2.早く売るために、売却価格を下げようと説得してくる。
両手仲介を成立させるために、売主に売り出し価格を低めに提案し、他社に先越される前に、早く売ってしまおうとするケースがあります。
不動産の世界でも、売り出し価格が相場よりも低ければ、その分、早く売れやすいです。
本当はもっと高く売れるかもしれませんから、売主は損することになります。
また、購入希望者から値下げ交渉があった場合、売主を説得して早く売ろうとするケースもあります。
例えば、売り出し開始から1週間以内に5件も問い合わせがあり、1件の購入申込みがあったとしましょう。
その購入申し込みには、「200万円を値引きしてほしい」との条件があったとします。
本来であれば、売り出しから1週間以内に5件も問い合わせがあれば、その値引きに応じなくても、他の購入希望者から購入申込みがある可能性が考えられます。
しかし、他社に先越される前に早く売ってしまいたいから、「このお客様を逃すと、厳しいかもしれません・・・。」のようなことを言って、値引きに応じさせようと説得してきます。
自社の利益のことだけを考えた、とんでもない行為になります。
2-2-3.他社よりも、自社の購入申込みを優先させる。
購入申し込みが、自社と他社で同時にあった場合、自社を優先させるケースがあります。
たとえ、他社の購入申込みの方が有利だったとしてもです。
例えば、自社が2,400万円、他社が2,500万円で購入申込みがあったとしましょう。
もちろん、売主としては2,500万円の購入希望者を優先させたいところです。
しかし、それでは両手仲介が成立しませんから、他社から購入申込みがあったことは意図的に隠し、自社の購入申込みの話しかしてこないケースもあります。
売主としては、高く売るチャンスを逃すことになります。
以上、このように、不動産会社が両手仲介を目指すとなれば、売主にとってマイナスになる行為でも、行うようになるわけです。
2-3.両手仲介は大手不動産会社に多い傾向にある。
両手仲介は、大手から中小の不動産会社まで行われていますが、どちらかというと大手不動産会社に多い傾向にあります。
下記の表は、大手不動産会社のデータをまとめたものです。
注目していただきたいのは、平均手数料率です。
不動産の仲介手数料は、売買価格が400万円以上の場合は「3%+6万円」になりますが、下記の表をみると、4%を超える不動産会社が多く見られます。
これは、両手仲介を行っていることを意味します。
不動産会社名 | 取扱件数(件) | 手数料数入(百万円) | 平均手数料率(%) |
---|---|---|---|
三井不動産リアルティ | 18,620 | 30,529 | 5.23 |
住友不動産販売 | 16,682 | 22,477 | 5.28 |
東急リバブル | 7,872 | 15,614 | 4.43 |
野村不動産グループ | 3,050 | 8,638 | 3.24 |
三菱UFJ不動産販売 | 2,606 | 5,813 | 3.65 |
三井住友トラスト不動産 | 3,435 | 5,597 | 3.76 |
みずほ不動産販売 | 1,870 | 4,417 | 4.26 |
大京グループ | 2,530 | 3,139 | 4.15 |
大成有楽不動産販売グループ | 1,818 | 2,573 | 4.48 |
住友林業ホームサービス | 1,868 | 2,319 | 4.56 |
出所:週間住宅新聞(2012年11月19日号)
実際、わたしは上記の表のなかにある大手不動産会社に勤めていた経験がありますが、会社は基本的に両手仲介を目指していました。
営業マンとしても歩合制でありノルマもありますから、違和感を感じながらも、両手仲介を目指しざるを得ませんでした。
その為、囲い込みなど、売主に不利益になる行動があったのが実態です。
2-4.そもそも売主・買主両方の味方になるのは難しい。
そもそもですが、売主と買主の両方の味方になることは難しい話ではあります。
なぜなら、交渉ごとがあるからです。
売主は「高く売りたい」ことを望んでいますし、買主は「安く買いたい」ことを望んでいます。
売主と買主では利益が相反していますから、不動産会社が両方の味方になることは難しい話なのです。
本来であれば、売主の味方になった場合は、少しでも高く売るために、交渉するべきです。
逆に、買主の味方になった場合は、少しでも安く買うために、交渉するべきです。
ちなみに、不動産仲介の成熟国であるアメリカでは、両手仲介が禁止されています。
なぜなら、売主が両手仲介を許さないからだそうです。
2-5.だからソニー不動産は魅力的
ソニー不動産は、基本的には片手仲介しかしませんから、だから魅力的なのです。
自社の売上よりも、売主の利益を追求している、言わば侍のような不動産会社なのです。
3.ソニー不動産の唯一のデメリット
ソニー不動産のデメリットは、今のところ1都3県(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)にしか対応していないところです。
1都3県の地域で売却をするなら、査定を依頼しておきたい不動産会社の一つですが、1都3県以外の地域だと、あきらめるほかありません。
4.ソニー不動産の悪い評判・良い評判
実際に、ソニー不動産を利用した方の口コミ・評判を調べてみました。
調べて分かったことですが、ネット上の口コミ・評判は、宅建士の目から見て、ほとんど真実味がありません。
情報元が不明なサイトの情報を、うのみにするのは、危険だと言えるでしょう。
そんななか、「クチコミランキング」というサイトは運営元がしっかりしていたので、口コミ・評判をご紹介させていただきます。
まずは、悪い評判・口コミから見ていきましょう。
4-1.悪い評判・口コミ
不動産の査定ですが、一括見積も便利ですが、大手の不動産会社は参加していないところもあるので、見積もりを取りたいところがあれば個別に査定を依頼する必要があります。
個人的にはソニー不動産は、他の不動産会社の査定方法とは全く別の形で、AIと過去の査定データを組み合わせて査定しているので、とても参考になる査定結果が出てくるので、利用すべきだと思っています。(私が査定を取ってみた感想としては、高いところと低いところの間位の査定が出てくる傾向があり、一番マーケットに即しているように思います。)
ただサービスを利用できる地域が限定されている点と、不動産会社としては例えば三井不動産リアルティや三菱地所のような経験と実績がないので、そこは認識しておくべきだと思います。
担当営業の質もまちまちです(41才・男・不動産運営)
現状、1都3県しか対応していない点と、まだ運営実績が浅い点、担当営業の質について指摘されています。
ただ、経験豊富な人材を中途採用し、顧客満足度は90%を達成しています。
また、担当営業の質はまちまちですが、これはどの不動産会社も言えることですから、やはり1都3県しか対応していない点がデメリットと言えるでしょう。
4-2.良い評判・口コミ
都内のアパートを売却の為、大手不動産各社サイトの6社一斉無料査定とソニー不動産を並行して見積り査定をして頂きました。
大手不動産6社サイトからはまず一斉に電話がバンバンきましたが、ソニー不動産は素晴らしい資料をファイルですぐさま送ってくれました。
ソニー不動産の担当の方は以前、財閥系大手不動産のトップ営業マンの方とのことで、査定価格とその根拠、さらに解体して更地にした方が高く売却できますと提案され。
さらに解体額まで試算。。。その上で航空写真添付で分かりやすく提案のファイルを作ってくれました。
何より片手取引でアメリカのエージェント方式。売却、広告、提案力も優れているようで安心してソニー不動産の担当の方にお願い致しました。
個人的にはソニー不動産も見積りの選択肢の一つに入れないと人生の大イベントの土地売却の際、絶対後悔すると思いました。
この口コミを見てソニー不動産を知り、本当に助かりました。友人にも教えてあげようと思いました。(47才・女)
某最大手の不動産会社とソニー不動産でマンションの査定を取りましたが、金額に大きな開きがあり驚きました。
大手は現在の売り出しや過去の販売データをもとに平均で売却価格を出し、一定の上下があるという方式で、ソニー不動産は独自の価格算定エンジンを使用し、金額を出しているという事でした。
どの不動産会社を選ぶかはオーナー次第ですが、専任媒介にすると手数料を値引いてくれたりプレゼントがあったりするので、売り出し最初は大手で専任媒介というのは一つの方法です。
ソニー不動産の満足度の高さを見る限り、販売力はありそうですし、検討の価値は十分あると思いました。(49才・男・不動産関連)
不動産業界でたびたび問題になる両手取引を原則しないことを打ち出しており、いろいろと不透明な点が多い不動産業界に一石を投じている時点で好感が持てる。
不動産査定も、三井不動産さ三菱地所もレインズの不動産取引価格情報を参考にして算出しているなか、ソニー不動産は独自の人工知能で査定の金額を算出しているので、他の不動産査定とは異なる結果になることもあり、興味深い。
手数料も引き下げてくれるので、検討する価値はある不動産屋の一つだと思う。(43才・男・会社員)
良い評判・口コミを見ると、エージェント制度の他にも、独自の査定方法が魅力的に感じられています。
一般的な不動産会社の査定方法は、取引事例比較法と言って、過去の売却事例と比較して売却価格を割り出します。
ソニー不動産は一味違った独自の査定方法になりますので、他の不動産会社の査定額と見比べる価値があります。
まとめ
今回は、ソニー不動産についてお話させていただきましたが、いかがだったでしょうか?
ソニー不動産は、日本の不動産業界のおかしな仕組みである両手仲介を禁止し、片手仲介により「売主だけの味方に立つ不動産会社」です。
また、一般的な不動産会社とは違い、独自の査定方法にて査定額を割り出します。
現在では1都3県(東京・神奈川・千葉・埼玉)にしか対応していませんが、1都3県の不動産を売却する際には、必ず査定を依頼しておきたい不動産会社の一つです。
ただ、注意点として、ソニー不動産1社のみに査定を依頼するのは、おススメではありません。
査定額は不動産会社によって差がありますし、どんなに良い不動産会社でも、担当する営業マン次第では結果が大きく変わってきます。
したがって、必ず複数の不動産会社に査定を依頼して、比較することをおススメします。
結論になりますが、まずは、ソニー不動産に個別に査定を依頼して、そして、HOME4Uなどの不動産一括査定も併用して、査定額を比較することをおススメします。
色々教えてくれてありがとう!
また分からないことがあれば、教えてね。