今度、不動産屋さんにマンションの査定を依頼する予定なの。
できるだけ高く売りたいんだけど、査定を依頼するにあたって、何かポイントや注意点はあるのかしら?
そうだ、佐藤さんに聞いてみよう!
こんにちは。マンション売却アドバイザーの佐藤です。
大切な資産であるマンションを売却するなら、相場より少しでも高く売りたいところですよね。
高く売るためのポイントはいくつかありますが、不動産売却のスタートとなる査定も、重要なポイントの一つとなります。
当たり前の話ではありますが、不動産会社は商売として仲介を行っています。
売主の利益を第一に考えて、売却価格を提案をしてくれる不動産会社もいますが、なかには自社の利益のために、査定額をわざと低くしたり、逆に高くする不動産会社もいます。
そんな不動産会社の言いなりにならないために、売主自身も予め知識をつけておくことが大切です。
不動産会社は査定をして売却価格を提案するわけですが、あくまでも、売却価格を最終的に決定するのは、売主なのです。
そこで、今回は、マンション売却時の査定について知っておきたいポイントや注意点などを、お話させていただきますね。
1.事前に相場を調べておくことが大事
マンションを相場よりも高く売るためには、不動産会社に査定を依頼する前に、まず、自分で調査をして欲しいことがあります。
それは、マンションがいくらで売却できそうなのか、相場を調べて把握しておくことです。
なぜなら、不動産会社によって査定額が異なりますし、最終的に売却価格を決めるのは売主だからです。
不動産会社によっては、その地域の相場が分かっていない業者や、自社に依頼して欲しい為に査定額を高くする業者もいます。
そんな不動産会社の言いなりにならない為にも、マンションの相場を把握しておきましょう。
相場を調べる方法としては、下記の2つがあります。
- 過去の取引事例を調べる。
- 現在売り出し中の物件を調べる。
では、順番に詳しく見ていきましょう。
1-1.過去の取引事例を調べる方法
国土交通省が運営しているサイト「土地総合情報システム」にて、自分と同じような条件のマンションが、実際に取引された価格を調べる事ができます。
注意点としては、実際に取引された物件の売却理由などの経緯が分からないため、「売り急いで安く売った」などの事情が分からないところです。
ただ、実際に取引された価格が掲載されているので、ぜひ参考にしてみて下さい。
最低でも、10件ほどの取引事例を見ておきたいところです。
1-2.現在売り出し中の物件を調べる方法
現在、売り出し中のマンションを調べる方法としては、「SUUMO」や「アットホーム」などを利用して検索すれば分かります。
中古マンションの購入を検討している方は、売り出し中のマンションを比較しながら検討するケースが多いです。
売り出し中のマンションを調査して、自分のマンションがいくらで売却できそうなのか、予測しておきましょう。
不動産会社に査定を依頼する前に、自分で相場を調べることが大事なんだね。
少しでも高く売り高いから、調べるようにするわ。
そうすれば、不動産屋さんから査定額について説明を受けたときに、理解しやすそうだしね。
不動産会社に査定を依頼するときのポイントは、何があるのかしら?
2.査定を依頼する際のポイントや知っておきたいこと
自分のマンションの相場を調べた後は、実際に不動産会社に査定を依頼しましょう。
査定を依頼する際のポイントや知っておきたいことは、下記のとおりです。
- 複数の不動産会社に査定を依頼する。
- 「2種類」の査定方法とは?
- 大手不動産会社と、地域密着型の不動産会社では、どっちがいいの?
- 査定に必要なものは何があるの?
- 掃除をした方が査定額が上がるの?
では、順番に詳しく見ていきましょう。
2-1.複数の不動産会社に査定を依頼する。
不動産会社に査定を依頼をする際は、1社だけではなく、必ず複数の不動産会社に査定を依頼することがポイントです。
その理由としては、主に下記の3つがあります。
- 不動産会社によって、査定額に差があるため。
- 不動産会社を競い合わせて、より良いサービスを受けるため。
- 不動産会社を比較することによって、質の良い不動産会社・営業マンを見極めやすくなるため。
複数の不動産会社に依頼するには、無料一括査定サービスを利用すると便利です。
不動産一括査定サービスはいくつかありますが、東証一部上場企業のNTTデータが運営している「HOME4U(ホーム・フォー・ユー)」がおススメです。
なぜなら、主に下記の4つのメリットがあるからです。
- 東証一部上場のNTTデータが運営しているので安心。
- 厳選された不動産会社900社のなかから、最大6社に一括査定。
- 2001年からの運営実績のなかで、悪徳不動産会社は排除されている。
- 査定結果の連絡方法は「メール」「電話」から選択できる。
もちろん費用は無料なので、利用しない手はありません。
複数の不動産会社に査定を依頼することがポイントの一つなんだね。
確かに、1社だけに査定を依頼すると、比較することができないわ。
一括査定サービスって無料なんだね。
便利そうだから、活用するようにするわ。
2-2.「2種類」の査定方法とは?
不動産の査定には、「机上査定」と「訪問査定」の2種類があります。
では、どのような違いがあるのか、見ていきましょう。
2-2-1.机上査定とは?
机上査定とは、簡易的な査定のことを言い、別名を簡易査定とも言われています。
不動産会社が実際に物件を見ることなく、過去の取引事例などを参考に、机上で査定額を割り出す方法です。
不動産会社は、不動産流通機構が運営している「レインズ(会員の不動産会社しか閲覧することができない」に登録されている、過去の取引事例などを参考にして、査定額を割り出します。
実際に物件を見ていない分、査定額の信ぴょう性は低くなります。
2-2-2.訪問査定とは?
一方、訪問査定は、机上査定よりもより詳しい査定になります。
不動産会社の営業マンが、実際に物件を訪問して、査定を行います。
室内の状況や日当たり、風通しなどを加味して、過去の取引事例も調査した上で、査定額を割り出します。
そのため、机上査定よりも、より正確な査定額が割り出されます。
2-2-3.どちらの査定方法で依頼するべきなの?
信ぴょう性の高い査定額を出すためには、最終的に訪問査定で依頼することになりますが、まずは机上査定を活用してもいいでしょう。
無料一括査定サービスでは、最大6社の不動産会社に査定を依頼できます。
もし、「6社もの訪問査定に対応するのが面倒」という方は、まずは机上査定で依頼して、最大6社に査定をしてもらいましょう。
そして、その中から質が良さそうな不動産会社3社に絞り込み、次に訪問査定を依頼すると、効率が良いと思います。
2-3.大手不動産会社と、地域密着型の不動産会社では、どっちがいいの?
不動産会社の規模は、大手不動産会社から地域密着型の中小不動産会社など、様々です。
結論から言うと、どちらが良いということはなく、どちらともメリット・デメリットがありますので、複数の不動産会社に査定を依頼した際に、両社を比較して判断するようにしましょう。
2-3-1.大手不動産会社のメリット
- ブランド力があり信頼性が高い為、購入希望者が安心しやすい。
- 広告料の予算が豊富にある。
- 駅前など目立つ場所に店舗を構えていることが多く、広告力がある。
- 契約内容がしっかりしている。
2-3-2.大手不動産会社のデメリット
- 専任媒介・専属専任媒介で契約した際に、囲い込みをされる可能性がある。
囲い込みとは、売主に機会損失を与える、不動産業者の違法行為になります。
不動産業界では、業者同士が、物件を紹介し合える仕組みになっています。
しかし、わざと紹介できないように働きかけ、自社だけ儲けようとする行為をします。
この行為を、囲い込みといいます。
大手不動産会社は、自社の売上重視の為、囲い込みを行うケースが多いです。
※囲い込みについて詳しくは、下記の記事を参照してください。
https://mansion-kyokasho.com/archives/1328
2-3-3.地域密着型不動産会社のメリット
- その地域で長年運営しているケースが多く、その地域について大手よりも詳しい傾向にある。
- 大手と比べて売却物件を多く抱えていないため、なんとしてでも売ろうとして頑張ってくる。
- 不動産会社同士の付き合いを大切にしているため、大手よりも物件の囲い込みをしない傾向にある。
2-3-4.地域密着型不動産会社のデメリット
- 無名の不動産会社であれば信頼度が低く、購入希望者が不安に思うことがある。
- 大手よりも、広告の予算が少ない傾向にある。
大手不動産会社の方が信頼度があるから、安心だと思っていたけど、一概にそうではないんだね。
大手と中小を比較して、比較して見極めるようにするわ。
2-4.査定の必要書類
机上査定は、物件の住所や面積、築年数、間取りなどの情報をもとに査定をしますので、それらの情報が分かるようにしておきましょう。
訪問査定は、不動産会社によって必要書類が異なりますが、一般的には下記の書類が必要になります。
- 権利証、または登記識別情報
- 建物図面(間取りが分かるもの)
また、下記の書類などが必要になる場合がありますので、不動産会社に確認しましょう。
- 登記簿謄本(登記事項証明書)
- 固定資産税課税証明書
- 購入時の売買契約書や重要事項説明書
その他、マンションに関する書類があれば、あるに越したことはありません。
あらかじめ売主が用意しておくと、査定を円滑に進めることができます。
マンションに関する書類はタンスにしまってあるから、何があるのか確認しておくわ。
より正確な査定額を出してほしいしね。
2-5.訪問査定では、どんなところを見られるの?
机上査定は机上で査定するのに対して、訪問査定は実際に営業マンが訪問して査定をします。
では、どんなところが見られているのか、見ていきましょう。
2-5-1.室内
- 間取り(現在の流行に合っているかどうか)
- 室内全体の雰囲気やリフォーム履歴
- 傾きや建具の建付等
- 日当たり・風通し・眺望・バルコニーなど。
- 雨漏り等の履歴や天井のしみ
- 設備関係(エアコン・追焚きの有無等・食洗機・床暖房など)
- 床下収納や点検口がある場合は床下の状況
2-5-2.外観
- 外壁のクラック・基礎のクラック
- 駐車場(出し入れがしやすいかどうか)
- 駐輪場等のスペース
- 共用部分の管理状況
物件により、多少調査する内容は変わりますが、大体上記の項目が見られるでしょう。
その他、交通の便や近隣の環境等についても調査されます。
2-6.訪問査定では、どんなことを聞かれるの?
訪問査定では、営業マンから下記のようなことを聞かれるケースが多いです。
- 売却理由
- 転居可能な時期
- 室内・外観の不具合の有無
- 給排水設備の不具合の有無
- 過去に火災やボヤ・事件・事故(自殺・他殺)等の有無。
- 近隣に暴力団関係の方はいるかどうか。
- 近隣での建築計画。
- 権利書(登記識別情報)の有無
- 権利書の住所と、現在の住所が同じかどうか。
- 住宅ローンの支払い状況(滞納の有無)
- ローンの残債
- 固定資産税・管理費・修繕積立金などの滞納の有無
- 物件のPRポイント・マイナスポイント。
マイナスポイントに関しては、あまり言いたいくないものですが、後々のトラブルを避けるために、正直に話しておきましょう。
不動産会社は仲介を成立させるのが仕事ですから、マイナスポイントでも必要なことであれば購入希望者に伝え、不必要なことであれば伝えません。
2-7.掃除をした方が査定額が上がるの?
よく「掃除をした方が査定額が上がるの?」との質問を受けることがあります。
掃除をすれば、不動産営業マンに良い影響を与えることができるため、査定額が上がる可能性はあります。
ただ、査定額を上げたとしても、最終的に売却価格を決めるのは、売主です。
むしろ、査定額を上げるために掃除をするのではなく、購入希望者に良い印象を与えて購入していただくために、掃除をした方がいいです。
掃除に関しては、ご自身でできる範囲でかまいません。
極端に汚れが目立つ場合は、ハウスクリーニング業者に依頼することを検討してもいいでしょう。
※ハウスクリーニングの相場については、下記の記事を参考にしてください。
3.不動産会社の査定方法を知っておこう!
不動産会社から査定額を提示する前に、不動産会社がどのような査定方法をしているか知っておくと、理解が深まります。
査定方法には、主に下記の3つあります。
- 原価法
- 収益還元法
- 取引事例比較法
では、順番に詳しく見ていきましょう。
3-1.原価法とは?
原価法とは、簡単に説明すると、もし同じマンションを立て直す場合、どれくらいの費用がかかるのか、材料費や人件費などを考慮して査定額を割り出す方法です。
個人の居住用不動産の売買で、この方法が用いられることは、ほとんどありませんので、スルーして下さい。
3-2.収益還元法とは?
収益還元法は、投資用の不動産の価格を割り出す際に、利用される方法です。
家賃収入などを元に利回りを計算して、売却価格を割り出します。
ちなみに、購入する方が投資家に限られてしまうため、売却価格は低くなりがちです。
3-3.取引事例比較法とは?
取引事例比較法とは、マイホームやセカンドハウスなどの居住用の不動産を査定する際に、利用される査定方法です。
居住用の不動産の売買では、ほとんどがこの取引事例比較法で査定されています。
では、取引事例比較法のメリットとデメリットを見ていきましょう。
3-3-1.取引事例比較法のメリット
実際に、過去に売買された取引事例を参考にして、売却価格を割り出します。
居住用不動産を売買する上で、信憑性の高い査定方法になります。
3-3-2事例比較法のデメリット
取引事例比較法のデメリットは、主に下記の2つがあります。
3-3-2-1.取引事例の売却理由までは分からない。
不動産会社は、レインズに登録されている過去の取引事例を参考にするわけですが、その取引事例は、売却理由までは記載されていません。
早期売却をするために、売却価格を相場の1割ほど下げて売りに出し、成約したのかもしれません。
そのような事情が分からないため、取引事例を多く見る必要があります。
3-3-2-2.比較物件が少ない場合は、価格がぶれる。
もし、その地域に取引事例が少ない場合は、価格を割り出すのが難しくなります。
3-4.とにかく取引事例を10件ほど見せてもらう。
取引事例比較法は、とにかく多くの取引事例と比較することで、価格の信ぴょう性が高まります。
したがって、過去の取引事例を10件ほどは見たいところです。
不動産会社によっては、3件ほどしか見せないところがありますので、その場合は「10件ほど見たい」と要望するようにしましょう。
3-5.営業マンがよく使う言葉「時点修正」とは?
取引事例比較法を用いて、過去の取引事例を参考にした上で、時点修正を行います。
例えば、1年前に2,000万円で売却された物件があったとしましょう。
現在は1年経過しているから、現時点では1,900万円だろうとする考えが時点修正です。
建物が古くなった分だけ、価値が下がるといった考え方です。
ただ、注意しなければならないのが、安易に時点修正を行うのは、安く売却してしまうことにつながります。
現在の不動産の価値は、時間が経過すれば下がっていく傾向にありますが、必ずしもそうとは限りません。
人気があるマンションや地域では、価値が上がることだってあります。
そのような事情を考慮せずに時点修正をする不動産営業マンには、要注意です。
3-6.売主を納得させるためのパフォーマンス
査定書には、「駅から徒歩何分なので〇〇点」「ベランダが南向きだから〇〇点」など、点数で評価されるケースが多いです。
ただ、これは査定書のボリュームを持たせるためであったり、売主を納得させるためのパフォーマンスだったりしますので、あまり参考になるものではありません。
大切なのは、過去の取引事例と、現在売り出し中の物件を参考にして、売却価格を決定することです。
4.高く売るための査定の注意点
不動産会社に査定額を提示されたとしても、それを鵜吞みにせずに、自分の意見をしっかりと持っておくことが大切です。
ここでは、高く売るための査定の注意点について、お話しさせていただきます。
4-1.査定額は、根拠が大事。
査定額は、何故その査定額になったのか、その根拠が大事です。
根拠無しに営業マンの感覚だけで決められていたのであれば、信憑性がありません。
過去の取引事例や、現在売り出し中の物件、営業マンの経験談などの根拠を話してもらいましょう。
4-2.査定価格は売れる価格ではない。
よく勘違いしてしまいがちですが、「査定額=売れる価格」ではありません。
不動産会社にもよりますが、3ヶ月以内に売却できるであろう価格を割り出すことが多いです。
4-3.査定額が高すぎる不動産会社は要注意
複数の不動産会社に査定を依頼すれば、「1社だけ明らかに査定額が高い」なんてことがあるかもしれません。
その際は、その不動産会社には注意が必要です。
不動産会社は、自社に売却を依頼してほしいがために、わざと査定額を高くする不動産会社がいます。
もちろん、相場よりも明らかに高い場合は、売れないでしょう。
そのような不動産会社は、その価格で売却活動はしてみるものの、売れないから後々「価格を下げませんか?」との交渉をしてくるかもしれません。
もし、査定額が明らかに相場よりも大会場合は、なぜその価格なのか、根拠を聞くことにしましょう。
4-4.売買価格を最終的に決めるのは売主!
不動産会社の査定額は、あくまで提案価格です。
したがって、必ずしもその価格で売却しなければならないわけではありません。
最終的に売却価格を決めるのは、売主です。
相場や不動産会社からの情報をもとに総合的に判断して、売却価格を決めるようにしましょう。
まとめ
今回は、マンション売却における査定のポイントや注意点についてお話させていただきましたが、いかがだったでしょうか?
最後に、査定における重要なポイント・知っておきたいことなどを、まとめておきますね。
- 事前に売主地震で相場を調べておくことが大事
- 査定は、複数の不動産会社に依頼する。
- 査定には、机上査定と訪問査定の2種類がある。
- 大手不動産会社と地域密着型の不動産会社では、どちらがいいとは一概には言えない。
- 査定の必要書類を把握しておく。
- 訪問査定で見られる部分、聞かれることを把握しておく。
- 不動産会社は、取引事例比較法にて査定を行う。
- 取引事例比較法は、取引事例を多く見ることによって、信憑性が高まる。
- 査定額は、根拠が大事。
- 査定価格は売れる価格ではない。
- 査定額が高すぎる不動産会社は要注意。
以上になります。
最後に、売買価格を最終的に決めるのは売主であることを忘れずに!
色々教えてくれてありがとう!
また分からないことがあれば、教えてね。