空き家のマンションを所有しているけど、売却でも賃貸でもどっちでもいいから、早く何とかしたいわ。
売却と賃貸を同時に募集することはできるのかしら?
そうだ、佐藤さんに聞いてみよう!
こんにちは。マンション売却アドバイザーの佐藤です。
結論からになりますが、売却と賃貸を同時に募集することはできます。
同時に募集すれば、どちらか早い方で決まればいいので、マンションを早く処理をすることができます。
ただ、注意点やデメリットがありますので、事前に知っておいてほしいと思います。
そこで、今回は、マンションの売却と賃貸の同時募集について知っておきたい3つのことを、お話しさせていただきます。
この話が終わるころには、マンションの売却と賃貸の同時募集について、理解できると思います。
1.媒介契約に注意する
不動産会社に売却を依頼するときは、不動産会社と媒介契約を締結します。
媒介契約には、下記の3種類があります。
- 一般媒介契約
- 専任媒介契約
- 専属専任媒介契約
売却と賃貸を同時募集するときは、専任媒介・専属専任媒介は注意が必要です。
では、まずは一般媒介から見てきましょう。
1-1.一般媒介の場合
一般媒介契約とは、複数の不動産会社に募集を依頼できる媒介契約をいいます。
例えば、売却をA不動産会社に、賃貸をB不動産会社に依頼しても問題ありません。
ただ、不動産会社へは、
- 売却と賃貸を同時募集していること
- どこの不動産会社に依頼しているのか
を告げておいた方が親切であり、何かとトラブルにもなりません。
そもそも、不動産会社にとって一般媒介契約は、他社に成約を先越されてしまえば1円にもならないという大きなリスクがあります。
そんななか、売却と賃貸を同時募集していることや、どこの不動産会社に依頼しているのかを教えてもらえなければ、やる気が失せる業者もいるでしょう。
せめて上記2つは告げておきましょう。
1-2.専任媒介・専属専任媒介の場合
専任媒介契約と専属専任媒介契約は、1社の不動産会社にしか依頼することができません。
厳密にいうと、不動産の「売買と交換」を複数の不動産会社に依頼してはいけないことになっており、賃貸についての言及はありません。
参考までに、京都府宅地建物取引業協会の媒介契約書のひな型には、下記のように記載されています。
依頼者は、目的物件の売買又は交換の媒介又は代理を、当社以外の宅地建物取引業者に重ねて依頼することができません。
引用元: 京都府宅地建物取引業協会 専任媒介契約書
したがって、売却をA不動産会社に、賃貸をB不動産会社に依頼しても問題ないように思えます。
ただ、不動産会社によっては、専任・専属専任はあくまでも不動産の処分(売却や賃貸)を依頼しているものであり、1社にしか依頼できないとの見解もあります。
不動産会社によって見解が分かれますので、トラブルを避けるためにも、専任・専属専任で同時募集するには、1社の不動産会社に依頼したほうが安全です。
すでに専任・専属専任で契約している場合で、複数社に切り替えたい場合は、契約期間が満了してから一般媒介に切り替えましょう。
2.同時募集のメリット・デメリット
売却と賃貸を同時に募集することで、どのようなメリット・デメリットがあるのか見ていきましょう。
2-1.メリット
先ほどもお話ししましたが、同時に募集すれば、どちらか早い方で決まればいいので、不動産を早く処理をすることができます。
売却でも賃貸でもどっちでもいいから、何らかの形で処理したい方には、同時募集が向いています。
2-2.デメリット
デメリットとしては、売却の広告費をかけづらいケースがあることです。
売却と賃貸を比較すると、賃貸の方が先に決まりやすい傾向にあります。
もちろん、ケースバイケースにはなりますが、理由としては賃貸の方が動くお金が低いため、その分、妥協もできるし即決しやすいからです。
不動産の購入は大きな買い物であり、多くの方が一生に一度か二度あるかないかなので、やはり慎重になります。
したがって、売却の依頼を受けた不動産会社は、賃貸に先越されるリスクがあるため、広告費をかけづらくなるケースがあります。
3.不動産会社としては売却・賃貸どっちが儲かる?
1社の不動産会社に売却と賃貸の両方を依頼した場合、儲かる方を優先させる不動産会社がいるかもしれません。
売却と賃貸ではどっちが儲かるかと言うと、売却の方が儲かります。
ただ、長い目で見ると賃貸の方が儲かることもあります。
例として、売却すると2,000万円で、賃貸にすると10万円の物件があるとして、仲介手数料の仕組みを見ていきましょう。
3-1.売却の仲介手数料
売却の仲介手数料は、売却価格が400万円以上の場合は、下記の計算式にて計算できます。
売却価格 × 3% + 6万円 = 仲介手数料
したがって、売却価格が2,000万円の場合は、下記の計算式になります。
2,000万円 × 3% + 6万円 = 66万円
もし、売却を依頼した不動産会社が、自社で買主をみつけることができた場合には、不動産会社は売主と買主の両方から仲介手数料を受け取ることができます。
したがって、売主から66万円、買主から66万円、合計132万円が儲けになります。
3-2.賃貸の仲介手数料
賃貸で、不動産会社が自社で入居者を見つけた場合は、下記の2つを受け取ることが多いです。
- 仲介手数料として入居者から家賃の1ヵ月分
- 広告料として大家から家賃の1ヵ月分
家賃が10万円の場合は、仲介手数料10万円、広告料10万円、合計20万円になります。
また、入居後に管理をする場合、管理料は毎月家賃の5~10%が相場です。
したがって、家賃が10万円・管理料が5%の場合は、毎月5千円となり、入居者が5年間入居すれば累計30万円、10年間入居すれば累計60万円になります。
さらに、入居者が10年後に退去して、不動産を売却するとなれば、売却の仲介手数料も受け取ることができます。
このように、短期的にみると売却のほうが儲かりますが、長期的にみると賃貸の方が儲かることもあります。
まとめ
今回は、売却と賃貸の同時募集についてお話させていただきましたが、いかがだったでしょうか?
同時募集で一番気を付けたいことは、媒介契約によるトラブルです。
複数の不動産会社に依頼する場合は一般媒介で、1社の不動産会社に依頼する場合は専任媒介・専属専任媒介にすると、トラブルは回避できるでしょう。
色々教えてくれてありがとう!
また分からないことがあれば、教えてね。