今度マンションを売却する予定なんだけど、フローリングにけっこう目立つ傷があるの。
傷があると印象が悪くなって売れなさそうな気がするんだけど、あらかじめ補修や張り替えをした方がいいのかしら?
そうだ、佐藤さんに聞いてみよう!
こんにちは。マンション売却アドバイザーの佐藤です。
今まで生活するうえで気にならなかったフローリングの傷でも、いざ売却するとなると、
「傷があると売れにくくなるのでは?」
「補修や張り替えをした方が高く売れるのでは?」
「そもそも補修をしなければならないの?」
などと疑問がでてきますよね。
結論から言いますと、フローリングの傷の状態にもよりますが、基本的には補修や張り替えなどの費用をかけずに、現状のまま売却した方がメリットが大きいです。
なぜなら、下記のような理由があるからです。
- 中古住宅のため、購入希望者は傷があることを前提としている。
- 自分好みのリフォームをしたい方もいる。
- 費用をかけて張替えしても、そのぶん上乗せできるとは限らない。
- 補修・張り替えをしても値引き交渉はある。
実際に、売主が個人の場合は、ほとんどの方がリフォームなしで売却されています。
ただ、もし傷がひどすぎる場合は、購入希望者から「キレイに扱われていない物件かも」と思われることがあり、傷の部分だけでなく、家全体がマイナスイメージになることがあります。
そうなると売れにくくなってしまいますので、事前に対策をした方がいいでしょう。
そこで、今回はマンション売却におけるフローリングの傷に関して、詳しくお話させていただきます。
この話が終わるころには、売却前にどうするべきか判断がつくと思います。
それではまります!
1.そもそも修復する義務があるの?
まず初めに、中古住宅の売買では、売主から買主に現状のまま引き渡されることが一般的です。
これを専門用語で「現状渡し」と呼ばれています。
そのため、そもそも売主にはフローリングの傷を修復する義務がなく、現状のまま売却することができます。
したがって、修復するかどうかは、あくまでも売主の任意になります。
もちろん、買主との売買契約で「傷を修復します!」などといった条件を付けた場合は、その義務を負うことになります。
(実際のところは売主が修復義務を負うかたちをとるのではなく、補修費分を値引きするかたちをとって売買契約を成立させるケースが多いです。)
1-1.引き渡し後に傷を指摘されたらどうなる?
買主に引き渡した後に、売買契約の前からあったフローリングの傷を指摘されたとしても、一般的な売買契約では瑕疵担保責任に該当しないため、売主はその責任を負いません。
瑕疵担保責任とは、専門家が調査しないと分からないような隠れた欠陥があった場合に、売主が負うべき責任のことを言います。
引き渡しからある一定期間(3ヵ月が一般的)に発見された欠陥に対して、売主が責任を負います。
マンションの場合は、瑕疵担保責任の範囲を下記の3つに限定することが一般的です。
- 雨漏り
- シロアリの被害
- 給排水設備の故障(専有部分のみ)
フローリングの傷は上記3つに該当しないため、売主には修復する義務がありません。
2.基本は修復しなくても良い4つの理由
フローリングの傷を修復すべきかどうかは傷の状態によりますが、基本的には現状のまま売却した方がメリットが大きいです。
その理由は、下記の4つの理由があるからです。
- 購入希望者は傷があることを前提としている。
- 自分好みのリフォームがしたい方もいる。
- 費用をかけて張り替えしても、そのぶん上乗せできるとは限らない。
- 補修・張り替えをしても値引き交渉はある。
では、順番に見ていきましょう。
2-1.購入希望者は傷があることを前提としている。
そもそも購入希望者は、新築マンションではなく中古マンションを購入を希望しているわけであって、日常生活でついたような多少の傷であれば想定の範囲内です。
また、購入後にリフォームが必要になる可能性があることを前提で、物件を探されている方が多いです。
2-2.自分好みのリフォームがしたい方もいる。
購入希望者のなかには、自分好みのリフォームをしたい方や、DIY(日曜大工)をしたい方が多くいらっしゃいます。
㈱リクルート住まいカンパニーの「2016年リフォーム実地者調査」情報によると、中古物件を取得した人のうち、リフォーム後に入居した方は51.96%です。
そのなかで、リフォームをした理由は、
- 「自分好みの家にしたかったら(デザイン)」が37.1%。
- 「自分好みの家にしたかったから(間取り)」が28.9%。
- 「リフォームが必要だったから」が41.2%。
となっています。
自分好みのリフォームを楽しみにしている方にとっては、売主がフローリングの補修・張り替えをしていたとしても、そのメリットがあまり響かないでしょう。
2-3.費用をかけて張り替えしても、そのぶん上乗せできるとは限らない。
フローリングの張り替えを前提にお話ししますが、多額な費用をかけて張り替えしても、そのぶん売却価格に上乗せして高く売ることができるとは限りません。
その理由の一つとして、売却価格が近隣の相場よりも高くなることが上げられます。
中古住宅の購入希望者は価格を重視して、新築ではなく中古を選ばれている方が多いです。
フローリングの張り替えとなれば、6帖で10万円前後はしますから、全部屋するとなれば数十万円にのぼります。
そのぶんを上乗せしてしまうと、他の物件と比較されて「築年数や間取りの割には相場よりも高いね」と思われるかもしれません。
もちろんフローリングがキレイにことはプラスの材料になりますが、そもそも中古マンションの購入希望者は、
- 多少の傷があることを想定内
- リフォームを前提に探している
- 自分好みのリフォームがしたい
などと考えられている方が多く、フローリングがキレイな状態よりも売却価格が安い方が喜ばれることがあります。
そしてさらに、下記で説明させていただきますが、結局は値引き交渉をされてしまいます。↓
2-4.補修・張り替えをしても値引き交渉はある。
費用をかけてフローリングを張り替えた場合、売り主としては、値引き交渉は勘弁してほしいところだと思います。
しかし、中古マンションの購入希望者は、基本的に値引き交渉ができるものとの認識があり、フローリングの張り替えに関係なく、値引き交渉が入る可能性が高いです。
いずれにしろ値引き交渉が入るのであれば、リフォーム無しの方が交渉に応じるための材料にしやすくなり、売主はお得に売却できる可能性があります。
たとえばですが、購入希望者から値引き交渉が入る際は、
「十万円単位の端数を値引きしてほしい」
「リフォーム代を値引きしてほしい」
の2点を交渉の理由にされることが多いです。
かりにリフォーム済みで2,980万円で売り出したとしても、結局は2,900万円にしてほしいとの値引き交渉は入るでしょう。
それであれば、そもそもリフォーム無しで2,980万円で売りに出し、「リフォーム代を考慮して2,900万円」とした方が交渉に応じやすくはあります。
3.ひどすぎる傷は部分補修
基本的には補修・張り替えはなしで、現状のまま売却した方がメリットが大きいことはお話しした通りです。
しかし、もし傷がひどすぎる場合は、購入希望者から「キレイに扱われていない物件かも」と思われることがあり、傷の部分だけでなく、家全体がマイナスイメージになることがあります。
そう思われると売れにくくなってしまうので、それは避けたいところです。
傷の度合いによりますので、不動産業者に査定を依頼した際に、プロの目で判断してもらいった方がいいでしょう。
補修をするときのポイントは、とにかく費用をかけすぎないことです。
手先が器用な方であれば、ホームセンターなどで市販の補修グッツが販売されていますので、自分で補修する方法もあります。
自分で補修すれば、数百円~数千円で済むかもしれません。
業者に依頼する場合は、まずは費用が安くすむ部分補修を検討されてください。
業者を選ぶ際は、大幅な工事を得意とするリフォーム業者よりも、部分的な補修を得意とするリペア業者に依頼することです。
業者のホームページを見て、あなたの傷と同じよう稲補修事例が掲載されている業者だと安心です。
部分補修だと半日作業で20,000円~が相場です。
参考までに「家仲間コム」というサイトでは、匿名で一括見積もりができます。
4.最悪の場合はフローリング張り替え
もし、フローリングの状態が悪すぎる場合、たとえば、
- 深い傷が多すぎる。
- 黒ずみが広範囲にある。
- 床がブカブカしている。
などで、不動産業者のプロの目から見ても張り替えが必要な場合は、張り替えた方が良い結果をもたらす可能性があります。
ただ注意点として、不動産業者のなかには、リフォーム業者からリベートを受け取るために、大がかりな工事をススメてくる悪徳不動産業者がいるかもしれません。
工事代金の数パーセント~数十パーセントがリベートになるでしょうから、工事代金を膨らませようとする可能性があります。
それを回避する方法としては、必ず複数の不動産会社に査定を依頼して、
「本当にフローリングの張り替えが必要なのか?」
「どの部分の張り替えが必要なのか?」
などを、それぞれの不動産会社から意見を聞くことです。
1社の不動産業者の意見だけでは、その不動産業者の良し悪しの判断がしずらいはずです。
不動産一括査定サイトを利用すれば、簡単に複数の不動産会社に査定を依頼できますので、活用するといいでしょう。
まとめ
今回は、フローリングの傷についてお話させていただきましたが、いかがだったでしょうか?
基本的には現状のまま売却することが一般的で、ほとんどの物件が現状のまま売却されています。
ただ、傷がひどい場合は部分補修、最悪のケースは張り替えした方がいいかもしれません。
自分では傷の度合いの判断が難しいと思いますので、不動産業者のプロの目線で判断してもらいましょう。
色々教えてくれてありがとう!
また分からないことがあれば、教えてね。