マンションを売却したとき、固定資産税はどのように精算するのかしら?
やはり、引き渡しのときに、日割精算をするのかしら?
そうだ、佐藤さんに聞いてみよう!
こんにちは。マンション売却アドバイザーの佐藤です。
固定資産税・都市計画税(以下、固定資産税と表記)は、決済・引き渡しのときに、日割精算することが一般的です。
ただ、精算方法については法律で決まりがないため、不動産業者を通して買主と相談し、決めることになります。
ここでポイントとなるのが起算日で、起算日をいつにするかによって、精算額が変わってきます。
また、引き渡し日によっては、精算方法が少しややこしくなりますので、その仕組みを理解しておきましょう。
今回は、固定資産税の精算方法について、お話させていただきます。
1.納税義務者は、1月1日時点の所有者。
固定資産税は、毎年1月1日時点でマンションを所有している人が、その年(1年分)の納税義務者となります。
納税義務者に対して、4月下旬から5月頃に、納付書が送られてきます。
もし、マンションを5月1日に引き渡したとしても、その年の固定資産税は、売主が納税義務者となります。
これでは、マンションを引き渡したにもかかわらず、不公平な話になりますよね。
そこで、引き渡し前の分を売主負担、引き渡し後の分を買主負担になるように、日割精算を行います。
そして、引き渡し日に、買主から負担分を受け取り、売主が納税するかたちをとります。
ただ、ここで注意が必要な点が、起算日をいつにするかです。
それによって、精算額が変わってきます。
起算日って、どういうことかしら?
精算額が変わるなら、知っておかないといけないね。
2.起算日をいつにする?
起算日とは、期間を計算し始める日のことを言います。
先ほども言いましたが、固定資産税の精算は、引き渡し前の分が売主負担、引き渡し後の分が買主負担になります。
しかし、「いつ」から引き渡し日までが売主負担で、引き渡し日から「いつ」までが買主負担なのか、特に決まりがありません。
そこで、「いつ」から「いつ」までにするのか、起算日を決める必要があります。
起算日には、下記の2通りがあります。
- 起算日を1月1日とする暦年方式
- 起算日を4月1日とする年度方式
では、順番に見ていきましょう。
2-1.起算日を1月1日とする暦年方式
起算日が1月1日の場合、負担割合は下記のようになります。
- 売主負担は、1月1日から引き渡し日前まで。
- 買主負担は、引き渡し日から12月31日まで。
なぜ、起算日を1月1日にするのかについては、毎年1月1日時点の所有者が納税義務者になることを、根拠にしています。
2-2.起算日を4月1日とする年度方式
起算日が4月1日の場合、負担割合は下記のようになります。
売主負担は、4月1日から引き渡し日前まで。
買主負担は、引き渡し日から3月31日まで。
なぜ、起算日を4月1日にするのかについては、実際の納税期間が4月1日以降になることを、根拠にしています。
2-3.どっちにするの?
起算日をどっちにするかは、その地域の慣習によって決めることがほとんどです。
関東では1月1日、関西・九州では4月1日とすることが多いです。
法律で決まりがない為、どちらが正しいと言うわけではありません。
ちなみに、売買契約書に起算日を定めることが一般的で、その起算日に従って、精算することになります。
起算日は、1月1日と4月1日があるんだね。
どのように精算額が変わるのかしら?
3.起算日で清算額が変わる。
固定資産税の精算額は、起算日によって変わってきます。
例として、毎年の固定資産税が10万円で、引き渡しが11月1日の場合と、2月1日の場合の計算例を記載します。
※引き渡しを、1月1日~3月31日までの間に行った場合は、少しややこしくなります。
3-1.引き渡しが11月1日の例
3-1-1.起算日が1月1日の場合
売主負担
1月1日~10月31日までの304日分。
10万円×304日/365日=83,288円
買主負担
11月1日~12月31日までの61日分。
10万円×61日/365日=16,712円
3-1-2.起算日が4月1日の場合
売主負担
4月1日~10月31日までの214日分。
10万円×214日/365日=56,630円
買主負担
11月1日~翌年3月31日までの151日分。
10万円×151日/365日=41,370円
3-2.引き渡しが2月1日の例
先ほども言いましたが、引き渡しを、1月1日~3月31日までの間に行った場合は、少しややこしくなります。
3-2-1.起算日が1月1日の場合
売主負担
1月1日~1月31日までの31日分。
10万円×31日/365日=8,493円
買主負担
2月1日~12月31日までの334日分。
10万円×334日/365日=91,507円
問題点
引き渡しを1月1日~3月31日までに行う場合で、起算日を1月1日とする場合は、問題点があります。
それは、その年の固定資産税の額が、まだ分からないという点です。
なぜなら、その年の固定資産税の納付書は、4月下旬~5月頃に送られてくるからです。
役所に問い合わせたとしても、4月1日以降でなければ、確認することが出来ません。(自治体によっては、3月中にわかるところもあります)
したがって、下記の2つの内、どちらかの方法で精算されています。
- 前年度の固定資産税の額で精算する。
- 引き渡し後に、売主のもとに納付書が届いてから、精算をする。
一般的には、上記1の方法で精算されることが多いです。
ただ、金額が多少異なるケースがありますので、売主買主ともに、納得した上で精算するほかありません。
上記2の方法で精算をすることもありますが、すでに売買が終了しているため、スムーズにいかないケースがあります。
3-2-2.起算日が4月1日の場合
売主負担
前年の4月1日~1月31日までの306日分。
10万円×306日/365日=83,836円
買主負担
2月1日~3月31日までの59日分。
10万円×59日/365日=16,164円
問題点
引き渡しを1月1日~3月31日までに行う場合で、起算日を4月1日とする場合も、問題点があります。
それは、引き渡し後に、売主に対して、翌年分の納付書が送られてくるという点です。
なぜなら、毎年1月1日時点の所有者が、納税義務者となるからです。
したがって、下記の2つの内、どちらかの方法で精算されています。
- 本年度の固定資産税の精算額に加えて、さらに一年分を買主に支払ってもらう。
- 引き渡し後に、売主のもとに納付書が届いてから、買主に連絡して支払ってもらう。
一般的には、上記1の方法で、精算することが多いです。
ただ、金額が多少異なるケースがありますので、売主買主ともに、納得した上で精算するほかありません。
上記2の方法で精算することもありますが、すでに売買が終了しているため、スムーズにいかないケースがあります。
まとめ
今回は、についてお話させていただきましたが、いかがだったでしょうか?
ポイントとしては、
- 起算日をいつにするのか。
- 引き渡し日が、1月1日~3月31日の場合は、注意が必要。
の2点になります。
色々教えてくれてありがとう!
また分からないことがあれば、教えてね。